読めない米大統領中間選挙
Japan In-depth / 2022年11月8日 13時22分
おっと、それではお前はどうなのか、と問われそうだ。ここからは中間選挙直前の筆者の「予測」ではなく、筆者の「予測の手法」について書くのだが、その前にまずは1976年以来筆者が独断と偏見と経験則に基づいて考えてきた「予測の手法」をご披露しよう。但し、これは2016年までの経験則で、今はかなり修正が必要である。
経験則① 原理主義者は勝てない
2016年まではトランプやサンダースのような妥協を排す純粋主義puristは選挙に勝てなかった。平均的有権者は付いて来ないので、出馬を検討した多くの原理主義者は途中で挫折してきた。ところが、2016年トランプの勝利はこれがもはや妥当しないことを示した。アメリカ社会が大きく変化していることを暗示しているのだろう。
経験則② 割れた政党は負ける
原理主義者が一定の支持を得続ければ第三党を作って出馬する。そうなれば、政党は内部分裂し、本選挙では敗北する。典型例は筆者が経験した1992年のロス・ペロー候補の出馬とビル・クリントン候補の当選だった。2016年は民主共和両党とも「割れた」が、トランプは共和党を乗っ取る形で、党の分裂を強引に回避したのだろう。
経験則③ 正副大統領候補のバランス
米国は広い。一部で人気のある大統領候補だけで選挙は勝てない。全国的支持を獲得するには正副大統領候補の出身地や支持母体などの均衡を図ることが重要である。その点では2016年にトランプがペンス副大統領候補を選んだのは正しかったと思う。この経験則は今後も妥当し続けるだろう。
経験則④ 米国民の平衡感覚
「最後にモノを言うのは米国民の健全なバランス感覚だ。ウォーターゲート事件後のカーター候補、イラン革命後のレーガン候補、冷戦終了後のクリントン候補、アフガン・イラク戦争後のオバマ候補の当選はそれぞれ大統領選挙の中で政治を変えようとする米国民主主義の真骨頂だ・・・・。」
恥ずかしながら、2016年の大統領選挙前、筆者はこう書いていた。2016年のトランプ勝利でこの経験則は揺らいでしまった。2020年のバイデン勝利でかろうじて復活はしたが、この経験則が今後も妥当し続けるとは思えなくなった。それでは最後に、2016年以降、筆者が学びつつある経験則⑤をご披露しよう。
経験則⑤ 世論調査は間違える
最も重要なことは、世論調査会社も人の子で、結構予測を間違える、ということだ。日本ではあまり起きないが、アメリカでは選挙予測の外れた会社は「退場」するか「調査手法変更」を強いられるし、予測が当たった会社は「大胆」になるか、「傲慢」になり、次回は予測が外れる可能性が高まる、のである。これを言っちゃあ終わりだが・・・。
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