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リハビリ農園の可能性(下)「高岡発ニッポン再興」その38

Japan In-depth / 2022年11月10日 11時0分

リハビリ農園の可能性(下)「高岡発ニッポン再興」その38




出町譲(高岡市議会議員・作家)





【まとめ】





・飯尾裕光氏は農業を「地域におけるコミュニケーションの手段」としてリハビリ農園を指導している。





・日本ではこれまで農地を宅地にする動きが目立っていたが、人口減少時代においてその逆の動きも出ている。





・光ヶ丘病院のリハビリ農園は、新たな日本の未来をつくる実験場になるのではないか。





 




光ヶ丘病院のリハビリ農園を指導しているのは、「ヒロ先生」と呼ばれている飯尾裕光氏です。農作業をしているため、健康そうな日焼けをしています。愛知県と北海道で、農場の運営をやっていますが、飯尾氏の理論はこうです。農業は、プロの農家のように、生産だけが目的ではなく、地域において、コミュニケーションの手段だというのです。


「たくさんの野菜を収穫して、たくさんの収益を上げる。そんなプロの農家と同じような農業をやる必要がないのです。草野球的な農業をみんなで楽しむのが大事なのです」。


こうしたスタンスで、飯尾氏はこの春、新藤悠子氏の依頼を受けて農園の予定地を調査しました。病院の敷地にある土地は、造成地です。土の質、地層、深さなど畑に適しているのかチェックしたのです。土は深くはありません。土を耕していては、時間がかかるし、費用もかかります。


それで採用したのは、前回お伝えした、「レイズドベッド」です。花壇のような囲いに、植物を植える手法です。車椅子や歩行器を使っている人がかがまなくても、作業ができるのが特徴です。


レイズドベッドのほかにも、驚くべき斬新な手法も取り入れました。地面の上に、段ボールを敷き、その上に土を乗せるのです。


「段ボールを敷けば、雑草が生えません。さらに、段ボールは雨風に当たり、時間がたてば、土にかえります」。


病院から大量に出る段ボールを破棄せず、有効活用しているのです。まさに究極のSDGsですね。


レイズドベッドにしても、段ボールを敷いた農園にしても、ポイントとなるのは、土だといいます。土とは、何でしょうか。


一言でいえば、岩石と有機物で成り立っています。岩石は、長い年月の間に、砕かれたり、削られたりします。それに、動植物の死骸などが混じって土になるのです。


「日本では、もともと土は肥沃で、土をつくる技術は発展しませんでした。肥料をつくることに、力を入れてきたのです。しかし、ヨーロッパなどは土が肥沃ではなく、土をつくる技術が発展したのです」。


ヨーロッパスタイルの導入です。こうした中、偶然が起きます。愛知県の農園で、飯尾氏が使っている土は「富山製」なのです。射水市にあるリサイクル業者、北陸ポートサービスがつくっているのです。


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