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若手を鍛える「合宿」のススメ

Japan In-depth / 2022年11月24日 14時26分

 今回の「合宿」を企画してくれたのは、大学時代に在籍した剣道部の一年後輩で、代々木ゼミナールの国語講師をしている藤井健志君と、20年以上にわたり、我々のチームの一員として活動している岸友紀子医師だ。共に岡山出身、岸さんは現在、岡山で働いている。今回は長男の琥太朗君と共に参加した。


 駆けつけた若者は、広島大学の医学生である吉村弘記君と溝上希さん、今春、帝京大学医学部を卒業し、香川県の三豊総合病院で初期研修を始めた遠藤通意君だ。これに、加治木島津家の次期当主で、現在、ナビタスクリニック新宿の事務長を務める島津久崇君が、途中から参加した。吉村君、溝上さんは勿論、遠藤君、島津君も大学生時代から、医療ガバナンス研究所で勉強している。



写真)「合宿」での議論の光景。机の周囲の人物、左から島津君、遠藤君、吉村君、溝上さん。後方のソファが藤井健志さん。


 その夜の会話は、お互いの近況報告から始まり、自分の過去、将来への希望へと盛り上がった。そこに藤井君や岸さんが、自らの経験を交えて、アドバイスした。


 藤井君は、学生時代に東大剣道部の2年後輩の女性と「出来ちゃった結婚」した。就職した三和銀行(現三菱UFJ銀行)も一年ほどで辞める。これでは奥さんは堪らない。様々な苦労を経験したそうだ。ただ、藤井君は頑張った。予備校の国語講師に転身し、現在は代ゼミの看板講師だ。低成長の予備校業界で立派に生き残っている。


奥さんも立派だ。三人の子供を育てる傍ら、航空自衛隊に勤務し、さらに現在は星槎大学博士課程で研究に従事している。


 岸さんは、虎の門病院、国立がんセンター中央病院で、私と共に働いた血液内科医で、自治医科大学の花園豊教授の下で博士課程を修了後、東大医科研の我々の研究室のポスドクとして働いた。結婚、妊娠を契機に故郷の岡山に戻った。その後、離婚し、現在はひとり親として琥太朗君を育てながら、勤務医として働き、かつナビタスクリニックを経営する鉄医会の役員も務めている。


藤井君、岸さんが語る苦労談はリアルで、「人生なんとかなる」という言葉には説得力がある。


 医学生や若手医師の中には「将来が不安」と言う人が多い。その理由の一つは、接触する「大人」が大学教員や医局員に限られ、藤井君や岸さんのように50代の先輩との出会いは限られているからだろう。どんな仕事であれ、50歳を超えると、組織を離れ、自力で生きなければならなくなる。ところが、彼らには、その具体像が見えない。SNSが発達した現在、大学や職場の枠を超えた同世代のネットワークは容易に形成できるが、世代を超えた付き合いは難しい。従来、このような役割を担ってきた医局や大学のクラブのOB会は、コロナ禍で活動を停止している。これは、若者にとって損失だ。藤井君や岸さんの話は、若者にとって新鮮だったようだ。


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