落選の系譜(下)熱くなりきれないワールドカップ その5
Japan In-depth / 2022年11月28日 19時0分
もともとはフランス2部リーグの選手で、ワールドカップ出場経験などない彼は、当然ながら日本ではまったく無名だったが、ベンゲルの紹介なら、ということで招聘されたらしい。
そのトルシエは、前回紹介した中田、城、小野らのパフォーマンスを見て、
(この世代に賭けてみよう)
と考えた。当人がそのように述懐している。代表の大幅な若返りを断行し、またA代表と23歳以下の代表監督を兼任して、ワールドカップの本大会初勝利を目指した。
同時にこの時期は、中村俊輔という新たな才能が台頭していた。正確無比という表現でも追いつかないほどの、精度の高い左脚のキックを武器に、中田英寿らに次ぐ平成世代として初めてA代表に名を連ねた選手だ。(2022年12月16日 追記修正)
しかしその中村は、2002年大会の代表メンバーからは落選してしまった。当時、トルシエ監督が、
「ナカムラは肉を4㎏食べて筋トレをしっかりやらないと、代表では通用しない」
と述べたという話が、まことしやかに広まったが、この話の出所はどうも曖昧である。つまり、いまひとつ信用しがたい。
事実は、直前の代表合宿で中村は膝を痛め、その回復が思わしくなかったから、ということであった。
とは言え、トルシエ監督がフィジカルを重視していたことについては、多くの状況証拠がある。
たとえばこの当時、日本代表の守護神と呼ばれていたGKは、フランス大会でも日本のゴールを守った川口能活であったが、日韓大会で起用されたのは、楢崎正剛であった。より大柄で(川口179㎝、楢崎187㎝)ガチンコに強い楢崎こそ、新たな守護神にふさわしいと判断されたに違いない。
さらに言えば、中村はたしかにフィジカルの点では問題があった。当人が、
「ヒデさん(中田英寿)のフィジカルは、化け物じみていた。僕に、あの真似はできない」
と語ったことがあるほどである。具体的には、中田の突破を阻止しようと、ユニフォームを後ろからつかんで引っ張った(もちろん反則だ)相手選手を逆に引きずり倒したという武勇伝が引き合いに出された。
ただ、中田のフィジカルというものは、持って生まれた能力以上に、中学時代から練習量ではだれにも負けなかった(当人があまりそれを語らないが)という、努力のたまものなのである。このあたりから「話が盛られた」結果、くだんの肉4㎏食べてどうのこうのという噂が広まったのではないかと私は考えているが、これはまあ推測の域を出ないことだ。
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