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ユーロ圏、来年物価高緩和へ【2023年を占う!】EU経済

Japan In-depth / 2022年12月3日 11時0分

主要国別のGDPは、ドイツが0.3%増(前期は0.1%増)。一方、イタリアは前期の1.1%増から0.5%増に減速。フランスも前期(0.5%増)を下回り、0.2%増にとどまった。


オランダ金融大手INGは、新型コロナウイルス禍で打撃を被った経済活動の再開による効果が「薄れている」と指摘。利上げや先行き不透明感から投資意欲も減退しているとし、今後数四半期に渡り、「景気縮小が続くだろう」との見方を示した。


EU欧州委員会は11月に入って、来年のユーロ圏実質GDPを従来予想の前年比1.4%増から0.3%増に大幅に下方修正した。ロシアのウクライナ侵攻に伴う物価の高止まりで景気が冷え込むと見込んだ。


主要国別ではドイツが0.6%減(従来予想は1.3%増)、フランスが0.4%増(従来予想が1.4%増)、イタリアが0.3%増(0.9%増)の見通し。


今年のユーロ圏全体のGDP見通しは、従来予想の2.6%増から3.2%増に上方修正した。欧州委はコロナ禍で停滞した経済活動の再開が押し上げにつながるとの見方を示した。


◇LNGと石炭


EUは長い間、天然ガスの供給の約40%をロシアに依存していたが、そのロシアがウクライナへの軍事侵攻に対するEUの経済制裁への事実上の対抗措置としてEUへの天然ガスの供給を停止。EUは不足分の確保を迫られるようになった。


こうした危機的状況を緩和するのに役立ったのは、太陽光や風力など再生可能エネルギー発電の拡大と米国やアフリカなどからのLNGの大幅な輸入増加だ。石炭の生産拡大も貢献した。


こうした中で、米紙ニューヨーク・タイムズは欧州のエネルギー供給状況はひとまず安定したと報じた。


LNGと石炭の消費加は2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするというカーボン・ニュートラルの目標に逆行するとの指摘もあるが、欧州委員会は目標の達成には影響しないとみている。


EU域内の天然ガス価格は夏場には高騰したが、今は落ち着いている。欧州委は夏の経験を踏まえて域外から調達する天然ガス価格の上限を1メガワット時当たり275ユーロに設定することを提案。高騰する電気代に対する庶民の不満を背景に安くしたいフランスやポーランドなどEU15カ国は支持しているものの、ドイツなどは市場価格がどうであれ上限を超えた分は支払わないこととなればガス調達に支障をきたすとして反対の姿勢を崩していない。EUは12月中旬にエネルギー相理事会を開いて再度協議することになった。


◇不確実性


欧州では今年の夏、水力発電は異常気象による水不足の影響を被った。原子力発電もメンテナンスの遅れに悩まされた。


欧州では冬の到来を控え、ガスの備蓄が進み、ひところの危機感は薄らいでいるが、今後数年間、不確実な状況は続くとみられている。(了)


トップ写真:労働組合がエネルギー価格の高騰に抗議(2022年10月15日 ドイツ・ライプツィヒ)出典:Photo by Jens Schlueter/Getty Images


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