グローバリズムの大後退 【2023年を占う!】国際情勢②
Japan In-depth / 2022年12月8日 18時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・2023年の国際情勢での予測の第2は、グローバリズムの大後退。
・それは、日本のこれまでの対外姿勢への根本的な抑制となる。
・グローバル化を無条件に善とし、発展への道としてきた日本にとって、2023年の大きな試練といえよう。
さて新しい年、2023年の国際情勢での予測の第二は、グローバリズムの大後退である。これまた2022年にも顕著となった世界の変動だが、新たな年もその流れは変わらないだろう。いやもっと顕著となるかもしれない。
グローバリゼーション、つまりグローバル化とは国家と国家の境界線を人や物やカネがより自由に動くことを意味する。グローバリズムといえば、その現象の概念あるいはそれを是とする思考を指すといえよう。
そのグローバル化がこの数年、極端に制限されるようになった。つまり国と国との人、物、カネの自由な流れが大幅に減ったのである。
その最大の原因は新型コロナウイルスの大感染だった。どの国にとっても最初は中国から、さらには他のすべての諸国からコロナウイルスを持っているかもしれない人間の流れを抑えることが不可欠となった。
コロナウイルスは単独で空を飛んでくるはずはない。みな人間の体内に保たれ、飛行機で空を飛び、船舶で海を渡り、一国から他国へ動くわけだ。
その邪悪な新型コロナウイルスの発生地は明らかに中国の武漢市だった。ただし発生と拡散の当初は武漢市当局も、中国の中央政府も、その事実を隠蔽した。隠すどころか、「このウイルスは人間には感染しない」という虚偽の情報まで流していた。その隠蔽の期間は50日にも達した。
通常、この種の新たな感染症の存在が明確となった際、その当事国の政府はその感染症に関する情報のすべてを開示して、自国の国民、そして他国の政府に通告する。国際的な感染の拡大を防ぐための常識的な措置である。だが中華人民共和国の政府はその常識的な措置をあえてとらなかったのだ。
このコロナウイルスの邪悪なほどの感染性が明らかとなってすぐ、グローバリゼーションの後退が始まった。ウイルスの発生地である中国の武漢からアメリカ、欧州、日本などにきた人間が次々に感染を確認されたことで、どの国も外部から入ってくる人間の流入を緊急に止めたのだ。感染者の急増はどの国にとっても国境封鎖の緊急必要性を立証した。まさにグローバル化の緊急ストップとなった。
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