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グローバリズムの大後退 【2023年を占う!】国際情勢②

Japan In-depth / 2022年12月8日 18時0分

 コロナによるこのグローバリゼーションの後退は2020年から始まり、2022年いっぱいも続いたが、2023年にもその流れは止まる気配はない。


 グローバル化への赤信号は新型コロナウイルスの世界的な大感染だけではなかった。それ以外にも「待った」をかける出来事は起きていたのだ。


  国際テロリズムもその要因の一つだった。外国からテロリストが入ってきて危険な殺戮や破壊を働くという現象もグローバル化の結果だった。イスラム原理主義のテロ組織がアメリカやヨーロッパに「聖戦」を実行する分子を送り出すこともグローバル化があってこそ増えていた。


 その最大例は2001年に起きたアメリカでの9・11の同時多発テロだった。イスラム原理主義の過激な教えを掲げるテロ組織のアルカーイダがアメリカ国内に潜入させた19人のテロリストたちがアメリカ側の民間人3000人以上を一気に殺すという大テロを決行したのだった。


 こうした残虐な国際テロは当然、各国間のそれまでの自由な人間の移動を制限することとなる。同種の国際テロはイギリスでも、フランスでも、ドイツでも多発するようになった。


 グローバル化の後退には経済的な要因もあった。移民や難民の大量な流入が先進諸国の経済に引き起こす混乱もグローバル化へのブレーキとなってきたのだ。


 こうしたグローバリゼーションの後退は先進主要国の実際の政策に明確に反映された。アメリカのトランプ政権の自国最優先主義は明らかに反グローバリゼーションと呼べる潮流だった。イギリスがグローバル化の象徴だった欧州連合(EU)から離脱したことも同様の意味があった。


 要するにグローバリゼーションは現実としても理念としても大幅に後退したのである。その結果、国連のような国際機関の役割も減ってしまった。国際協調、国際協力というような政策標語も色あせた感じとなった。


 この流れは日本にどう影響するのか。日本はグローバリゼーションの大好きな国だったといえる。政府も国民もとにかく他の諸国との協力や協調という概念をいつも強調してきた。あくまで日本自身が日本独自の判断で処理するべき案件も、「関係各国と協調して」とか「同盟国のアメリカと歩調を合わせて」という種類の対応が歴代首相の口から発せられてきた。日本国民もとにかく国際交流こそが日本にとって最大の目標であるかのような態度をみせてきた。


 その「国際」が概念、実態ともに大きく後退してしまったのだ。グローバリズムの大後退は、日本のこれまでの対外姿勢への根本的な抑制となる。


 とにかく戦後の日本は国連外交、全方位外交などという標語の下に外部世界との接触は常に最大限に保つことを国是のようにしてきた。日本ではグローバル化は無条件で善とされ、発展への道とされてきた、とさえいえよう。たとえ利害が衝突し、政治体制が異なる相手国でも、とにかく対話を、交流を、という態度だった。


 だがその無条件の正義のようだったグローバリズムに大幅な赤信号が灯ったのである。2023年の日本にとっての大きな試練だといえよう。


(③につづく。①はこちら)


トップ写真:中国のゼロコロナ政策に対するデモを行う人々(2022年11月28日 中国 北京)


  出典:Photo by Kevin Frayer/Getty Images


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