共和党は2024年の大統領選に勝てるのか
Japan In-depth / 2022年12月8日 23時0分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2022#48」
2022年12月5-11日
【まとめ】
・トランプ前大統領の政治家としての勢いは落ちてきている。
・ジョージア州上院選で共和党候補の落選、トランプ企業集団(法人)に有罪宣告、1月6日の米議会襲撃事件でトランプ氏が「告発」対象となる可能性が出た。
・共和党は2024年の大統領選挙に勝てるのか、という本質的な疑問が党内に噴き出ている。
今週も掲載が遅れてしまった。今は未明のワシントンの定宿で、遅ればせながらこの原稿を書いている。先々週はモルドバの首都キシナウからセルビアの首都ベオグラードを訪れたが、今週の出張先は慣れ親しんだワシントン、しかも、今年二度目の出張なので、大きな変化はなかろうと思ってやって来た。ところが、おっとどっこい、どうやら2024年に向けて大きな動きがありそうな予兆がいくつか見え始めている。
第一は、ジョージア州選出上院議員選挙決選投票で民主党現職がトランプ系共和党候補に勝利したことだ。米国のリベラル系メディアは手放しの大喜び、まるでジョージア州でドナルド・トランプ氏が敗北したかのような報道ぶりだった。これに対し、保守系フォックスニュースは殆ど報じていない。夜の討論番組でも、選挙結果は「大したことはない」「選挙とはこんなもんだ」などと他人事のような扱いだった。裏を読めば、共和党内、特にトランプ支持者にはかなりのショックだった、ということだろう。
第二は、トランプ企業集団(法人)に対する税金詐欺ほか17件の容疑でニューヨーク州最高裁が有罪を宣告したことだ。あくまで不正の容疑は「法人」に対するもので、トランプ氏やその家族「個人」に対するものではない。しかし、こうした税金詐欺等の不正については、いずれ「個人」の刑事責任も問われる可能性があり、その場合政治的ダメージは決して小さくないだろう。
第三は、米国下院の1月6日議会襲撃調査特別委員会がこれまでの調査結果をもとに司法省に対してcriminal referral を行うと発表したことだ。ある記事では「刑事告発」と訳されていたが、この委員会に刑事「告発」する権限があるかどうかは現時点では分からない。あくまで「参照」なのかもしれないが、いずれにせよ、トランプ氏個人を「referral」の対象とするか否かが焦点となる。尤も仮に対象になっても、トランプ氏が闘いを止めることはないだろう。また、この下院特別委員会は共和党が多数を占める次期議会では廃止または活動しなくなる可能性が高いと思われる。
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