空自戦闘機が比クラーク基地訪問飛行
Japan In-depth / 2022年12月9日 23時0分
大塚智彦(フリージャーナリスト)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・航空自衛隊のF15戦闘機が太平洋戦争以降初めてフィリピンのクラーク空軍基地を訪問した。
・南シナ海は中国を筆頭に多くの国が権益を主張し、緊張続く。
・日本は中国を念頭に警戒感を示し、米やフィリピンとの関係強化の重要性を、フィリピンは日本との同盟関係を改めて強調。
航空自衛隊のF15戦闘機が12月6日、フィリピン・ルソン島西部パンパンガ州にあるクラーク空軍基地に着陸した。日比両国空軍の友好親善のための訪問飛行で、日本の戦闘機がクラーク基地を訪れるのは太平洋戦争以後初めてとなった。
首都マニラの北西約60キロにあるクラーク基地は太平洋戦争中、日本軍の輸送、出撃基地として利用され、上陸して来た米軍とフィリピン軍との間で激しい戦闘が繰り広げられた激戦地の一つとされる。
戦後長く在比米空軍の基地として同じルソン島のスービック海軍基地とともに同盟国米国の安全保障関係を示す象徴となっていた。
その後米軍が撤退し、比空軍の主要基地としての機能を有しているが2012年に米軍が再び駐留し、現在は米比空軍の基地となっている。
6日正午ごろ、クラーク基地の滑走路にF15戦闘機2機が到着した。2機は空自第5航空団第305飛行隊所属で九州宮崎県の新田原基地から約4時間の長時間飛行の末到着したもので、F15戦闘機が外国を訪問するのは同盟国米国とオーストラリアに次ぐもので東南アジア地域では初めてとなる。
フィリピン空軍はF15を上空で比空軍のFA50戦闘機4機で出迎え、クラーク基地上空では初の日比戦闘機による編隊飛行を披露した。
F15戦闘機と派遣された約60人の空自隊員は、今回の訪問目的である部隊間の友好親善を図る「パレホ22(結束22)」で日比両国空軍の間で防衛に関する各種意見交換などが行われ親善と理解を深めた。
■南シナ海の緊張に対処
クラーク空軍基地はスービック海軍基地と共にルソン島西部に位置し、南シナ海に直面している。南シナ海は中国がその大半を自国の海洋権益が及ぶ海域であると一方的に主張する「九段線」として線引きし、海域内の環礁や島嶼に埋め立て工事などを次々と行い、建物や滑走路、レーダー施設を備えた軍事基地化している。
フィリピンは2014年に当時のベニグノ・アキノ大統領が中国の主張は不当だとしてオランダ・ハーグにある常設仲裁裁判所に訴えた。
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