比で中国資本の橋梁 環境破壊の懸念
Japan In-depth / 2022年12月10日 23時0分
大塚智彦(フリージャーナリスト)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・フィリピンミンダナオ島で中国資本による橋梁建設が計画されているが、環境保護団体はサンゴ礁が破壊されるとして反対。
・マルコス大統領は中国との関係を重視しており、環境保護か開発か、決断力が問われる。
・フィリピンは中国のオンラインカジノを国内に展開するなど、経済面において良好な関係を保とうとしている。
フィリピン南部ミンダナオ島ダバオにあるダバオ湾にかかる橋梁建設計画が環境保護団体などからやり玉に挙がっている。というのもこの橋梁建設でダバオ湾の珊瑚礁が大規模に破壊される危機にさらされる可能性があると環境保護団体や地元コミュニティーリーダーなどから反対論が出ているからだ。
この橋梁建設計画は中国資本で建設される予定で地元有力者などとの間で計画が進み10月末にはフェルディナンド・マルコス大統領など政府関係者や地元ダバオ市長、中国大使などが参列して起工式まで執り行われ、待ったなしの状況が続いている。
環境活動家などは橋の建設そのものには反対しておらず、大規模なサンゴ礁を破壊する可能性がある現在の場所からの移転を求めているが中央政府や地元政府は建設場所の見直しには後ろ向きで、すでに中国人労働者らによる工事が始まろうとしている。
★起工式には在比中国大使も列席
10月末にダバオ市で催された橋梁の起工式にはマルコス大統領や地元ダバオ市のセバスチャン・ドゥテルテ市長、在比中国大使館の黄熙蓮大使も参列した。ダバオ市長のセバンスチャン氏はサラ・ドゥテルテ副大統領と同じくドゥテルテ前大統領の子供であることから、前政権関係者もこの橋梁建設計画に賛成していることがわかる。
起工式でマルコス大統領は「フィリピンと中国2国間の関係と協力は強固で成長し続ける基盤の証しである。この取り組みの成功のため中国と手を結ぶことはフィリピンの喜びでもある」と中国大使を前にして中国との関係が現政権にとっても極めて重要なことを改めて強調した。
全長約4キロの橋はダバオ市と沖合のサマル島を車で5分で結ぶもので、これまでフェリーなど船舶しかなかったサマル島への渡航が便利になることで同島の経済、観光産業の活性化が見込まれるとしている。
総工費は約4億700万ドルとされるがそのうち約90%が中国からの融資で賄われるという典型的な中国によるインフラ整備である。
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