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比で中国資本の橋梁 環境破壊の懸念

Japan In-depth / 2022年12月10日 23時0分

 


★建設現場の海底には大規模珊瑚礁


 この橋建設に反対している環境保護活動家や地元でリゾート開発を進めて橋のダバオ川の建設現場近くにリゾート施設を所有する財閥などは橋の橋脚建設予定の海底には大規模なサンゴ礁があり、それが破壊されることに異議を唱えている。


 地元メディアなどの報道によると、海底には約7500平方メートルに渡って珊瑚礁が存在し、自然保護の観点から建設阻止を訴えている。


 活動家などは橋の建設そのものには反対しておらず「建設場所を他に移せばよい」と主張している。しかし建設に関わった政府、外国人コンサルタント、地元の建設請負業者らは橋の建設地移転には極めて消極的で、現地ではすでに中国人労働者も加わって建設工事の準備が進んでいる。


 橋は2027年の完成を目指しているが、環境運動家などからはこのまま建設が進むと「サンゴ礁は1年か2年で死滅するだろう」との見方を明らかにしている。


 「環境保護か開発か」は常に問われることだが、珊瑚礁保護は国際的にも重要視されている自然保護の一つであり、このまま建設計画を当初予定の場所で続行するのか、珊瑚礁を避けた場所での建設を選択するのか、マルコス大統領の決断力が問われているといえる。


 


★中国離れができないフィリピンの事情


 問題となっている橋梁の起工式にマルコス大統領が出席したように、フィリピンには中国資本のインフラ整備さらには経済援助が必要不可欠となっている。


 懸案となっている領有権問題が生じている南シナ海の問題ではマルコス大統領も強い姿勢で「1ミリたりといえど領土は譲らない」としており、中国には厳しい姿勢を維持している。安全保障では米国を「同盟国」として南シナ海における米国などの「航行の自由作戦」も支持している。


 こうした一見矛盾にも見える中国に対する政府の姿勢は「安全保障問題では譲歩することはしない」が経済問題では良好な関係を維持したい」というしたたかな外交戦略の一環で、こうした姿勢はフィリピンに限らずインドネシアやマレーシアなど他の東南アジアでも同様である。


 フィリピンの場合特に国内で「フィリピン・オフショア・ゲーミング・オペレーター(POGO)」と呼ばれるオンラインカジノ産業が多くの中国人顧客を抱えて隆盛している。


 これは中国本土ではカジノが違法なため、フィリピンを拠点にして中国本土の客を相手にしたカジノで稼ぐものでフィリピン国内では約60社が合法的に活動し、無許可の非合法オンラインカジノ業者は約100社もあるといわれ、そこで働く労働者は少なくとも40万人とされその大半は出稼ぎの中国人と見積もられているのだ。


 中国との関係を微妙にそしてしたたかに保ちながらマルコス政権は内外の諸政策の舵取りで少しづつ成果を上げており、国民の信頼、支持は高まっている。それだけに経済成長とは無縁の環境問題への配慮をぜひみせて欲しいものだ。


 


トップ写真:サマル島とダバオ国際空港の空中写真 フィリピン


出典:raksyBH/gettyimages


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