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陸自「次期装輪装甲車にAMV」の問題点

Japan In-depth / 2022年12月10日 18時0分

装備調達は企業で言えば設備投資だ。例えば上場の輸送会社で新しいトラックを導入するとしてその種類も、調達数も、総額も明らかにせずに役員会の了承が得られるだろうか。これがどんなに異常であるか、国会議員の多くも認識していない。





また防衛省は次期装輪装甲車の概要すら説明を拒んだ。AMVは多くの国で採用されているが、それぞれの国でカスタマイズが容易であることがセールポイントである。その概要は例えばポーランドや南アフリカなどは明らかにしているが、防衛省は病的にまでそれを拒む。





筆者はAPC型の武装についても質問したが12.7ミリ機銃を搭載することは、におわせたが、明確な答えは得られなかった。昨今のAPCでは銃座に機銃を搭載するだけでなく、火器とレーザー測距儀、暗視装置、ビデオカメラ、自動追尾装置などを統合したRWSの搭載が普通に行われているが、それも明らかにならなかった。





暗視カメラや安定化装置を組み込んだRWSはより遠く、夜間の索敵が可能であり、走行中の射撃でも高い命中精度が期待できる。またドローンの迎撃にも有効だ。単に機銃を搭載した場合と何倍も戦闘力が違ってくる。今や途上国ですら標準装備として導入が進んでいるRWSを陸自はただの1個も導入していない。まるで昭和から進歩がない。





また現代の装甲車はエレクトロニクス関連の比重が増えている。ナビゲーション・システム、戦場における状況を把握するバトル・メネジメント・システム、RWSなどがシステムとして統合されている。さらにこの装甲車が部隊とネットワークを構成する。普通外国ではこれらの概要程度の情報は公開される。そうでないと政治家も納税者もその調達が適正か否かの判断がつかない。





因みにMAVは陸自の別な8輪装甲車プログラムである共通戦術装甲車に採用されおり、無人砲塔に30ミリ機関砲を搭載した歩兵戦闘車型、有人砲塔に30ミリ機関砲を搭載した偵察車型、タレス社の迫撃砲を搭載した自走120ミリ迫撃砲型の開発が進められている。





だがこれらの搭載システムの統合に不具合があって、開発が難航している。装甲車輌のシステム統合、ネットワーク化は非常に高度であり、日本のメーカーにその実績は少なく、能力も低い。このシステム統合について何の説明もなく、車体のドンガラだけの説明で良し、としている防衛省のメンタリティは昭和で止まっている。これでまともな装甲車の運用は不可能だ。また諸外国ではAPCといえどもドローンなどの運用やドローンジャマーなどを搭載することも進んでいるが、次期装輪装甲車にそのような機能が搭載されるかも不明だ。





このような他国は当たり前に納税者に公開している情報を公開せず隠蔽しているために、防衛調達の実態が納税者に知られていない。このため政治やメディアによる監視も十分ではなく、諸外国からみれば奇特、不合理な調達が是正されていない。





このような状態で防衛費をGDP比2パーセントに上げても国防力の強化につながらず、いたずらに国家財政を悪化させるだけだろう。





トップ写真:パトリア社が開発したAMV 出典:防衛省より




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