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「時間の問題」だった大統領失脚-ペルー政変の背景

Japan In-depth / 2022年12月12日 23時0分

しかし、今回はフジモリ元大統領の長女ケイコ氏が率いる「フエルサ・ポプラル」(FP)はじめ野党勢力が提出した弾劾決議案が、成立に必要な議会定数(130)の3分の2を上回る102票の賛成で可決、カスティジョ大統領の命運が尽きた格好だ。現地の専門家の間では「カスティジョ政権は遅かれ早かれ退場するのは時間の問題だった。むしろ1年半もよく持ったぐらい」(ペルー・カトリカ大政治学者)といった見方が有力だ。





■新大統領就任でも政情不安は消えず





カスティジョ氏は議会で弾劾決議案が提出される直前、大統領として国民向けの演説を行い、議会の解散のほか、特別臨時政府を樹立し、早期に制憲議会を設置、新憲法づくりを行う考えを表明したが、これについてペルー憲法裁判所は「憲法秩序を乱すクーデター」と判断、同氏は国家警察によって拘束され、身柄はフジモリ元大統領が服役する首都リマ郊外の施設に移送された。





リマの有力メディアによれば、カスティジョ氏の脳裏には1992年に当時のフジモリ大統領が起こした“自主クーデター”の成功があった可能性があるという。当時、フジモリ氏は少数与党政権のため議会の強い抵抗で思うように政策を実現できない中、軍・警察を動員して議会を閉鎖し憲法を停止、その後、新憲法の制定を実現した。





だが、カスティジョ氏の“自主クーデター”がフジモリ政権の時と決定的に異なるのは、軍や警察が動かなかったことだ。「カスティジョ大統領は自滅した」との現地アナリストらの指摘は核心をついている。





憲法の規定に基づきボルアルテ副大統領が大統領に昇格、ペルー史上初の女性大統領となった。しかし、これでペルー政情が安定に向かうかは疑問。ボルアルテ氏は最近ではカスティジョ氏から離反していたといわれるが、同政権下で11月下旬まで開発・社会包摂担当相を務めていた人物で、以前には「カスティジョ大統領が退陣するときは自分も同様だ」などと発言しており、今後、FPなど野党勢力の追及を受ける可能性は否定できない。









▲写真 APEC 首脳会議でのボルアルテ副大統領(2022年11月19日 タイ、バンコク) 出典: Lauren DeCicca/Getty Images





ボルアルテ氏はカスティジョ前大統領の残りの任期の2026年7月まで大統領職にとどまることが可能だが、早期大統領選実施の声もあり、ペルー情勢は極めて流動的と言えよう。





(了)





トップ写真: 第52回米州機構の総会でのブリンケン米国務長官とペルーのカスティジョ大統領(2022年10月6日、ペルー、リマ) 出典:Anna Moneymaker/Getty Images




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