チリとペルーの動向が焦点、ルラ外交にも注目【2023年を占う!】中南米
Japan In-depth / 2022年12月19日 23時0分
ボルアルテ氏はもともとはカスティジョ前大統領と同じく、マルクス・レーニン主義政党の「ペルー・リブレ」(PL)の出身だが、2022年1月にPLから追放されており、議会内で自身の政党はなく、事実上、孤立無援状態。「ボルアルテ大統領早期退陣」説も飛び交う。フジモリ元大統領の長女ケイコ氏をはじめ野党勢力の動き次第で2023年の早い段階でボルアルテ政権の存続問題が浮上するとの見方もある。
■メキシコ、アルゼンチンはカスティジョ氏復帰を支持
ペルー情勢は2023年の中南米各国の外交にも波紋を広げる可能性が出ている。メキシコ、アルゼンチン、コロンビア、ボリビアの左派政権は今回のペルーの政変に関しカスティジョ大統領の罷免を非民主的と批判し、同氏の大統領復権を呼びかける共同声明を発表した。カスティジョ氏が亡命を求めたメキシコのロペスオブラドール大統領はペルーのボルアルテ新政権を認めないとし、同国との外交関係の保留を示唆した。ベネズエラのマドゥロ左派政権もカスティジョ前大統領支持を表明した。
一方、チリのボリッチ左派政権はカスティジョ前大統領の言動を反民主的と批判し、ボルアルテ新大統領への支持を明確にした。チリのほか、エクアドル、ウルグアイ、コスタリカもペルー新政権支持を明らかにするなど、ペルー政変への対応をめぐって中南米は二分される様相を示している。
こうした中、各国の耳目を集めているのが、2023年1月からブラジル大統領に就任するルラ氏。ルラ氏はペルー政変に関し、ボルアルテ新政権が国家再建に成功するよう望むとエールを送った。だが、ルラ氏は先に2022年10月の大統領選決選投票で当選した際、「中南米の再統合」の必要性を強調、域内各国の団結・協力の強化を各国に訴えている。
実際、ルラ氏は2003年-2010年の前大統領時代には中南米の統合に向け域内各国の連携を推進した実績がある。「ペルー政変をめぐる中南米の分断が深刻にならないよう調整役を果たす可能性がある」(ペルー・カトリカ大政治学者)と期待の声が聞かれるゆえんである。外交経験豊富なルラ氏の手腕が発揮されるか否かも、2023年の中南米の注目点の一つである。
(了)
トップ写真:当選後、ディナ・ボルアルテ新大統領が支持者に手を振っている様子(2022年6月19日 ペルー) 出典:Photo by Ricardo Moreira/Getty Images
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