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北朝鮮、今年の穀物生産量激減

Japan In-depth / 2022年12月22日 11時0分

 


■ 個人がコメを売ったら銃殺刑


北朝鮮当局は昨年5月、各地に国家食糧販売所を開設した。1990年代後半の「苦難の行軍」以降、市場(チャンマダン)に奪われた穀物の流通、価格決定の主導権を取り返すのが目的だった(元々北朝鮮では、市場でのコメなどの穀物売買は禁止されていた)。


だが、思うように穀物が入荷しなかったり、質が悪かったり、買い占めて市場で転売して儲ける商人が現れたりするなど、当局の思惑通りに進まない状況が続いた。


これに対して、当局は超強硬策に出たと咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。当局は、「個人が通り(道端)で穀物を販売する現象を徹底してなくすことについて」という指示を10月末と11月中旬の2回にわたって下した。現在、清津(チョンジン)市内では国家食糧販売所や国営商店以外の場所で個人(商人)の穀物販売が厳禁となっている。安全員(警察官)が通りをパトロールしており、摘発されれば穀物はすべて没収されるが、度重なる取り締まりにも一向になくならない。


個人販売に業を煮やしたのか、安全員はついに「個人がコメを売ったら銃殺刑」などと言い出した。何らかの法律や命令の施行初期に、摘発された者に重罰を課すのが北朝鮮の常套手段だ。情報筋も「国が警鐘を鳴らそうと決心すれば、見せしめに本当に銃殺される可能性がある」と、安全員の話が単なる脅しではないかもしれないと述べた。


こうした中で、北朝鮮メディアは12月8日、穀物の予想収穫量の判定や義務的な買い上げに絡む運用を定めた「農場法」と「糧政法」を改定する政令が採択されたと伝えた。収穫物の管理を強化するとみられるが、その背景には、食料難の中で収穫物の横流しが深刻化している状況がある。当局は農産物の収穫から流通までの全段階で統制を強める方針とみられる。


金正恩は「人民愛」を掲げて北朝鮮が「社会主義の最高レベルに達したと」と叫んでいるが、現実は彼が流すプロパガンダ映像とは正反対に進んでいる。


 


トップ写真:畑作業を行う北朝鮮農民(2005年04月20日、北朝鮮・サリウォン)


出典:Photo by Gerald Bourke/WFP via Getty Images


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