中国敵視過去最高75% 米世論調査
Japan In-depth / 2022年12月22日 18時0分
澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)
【まとめ】
・今年の「レーガン国防サーベイ」では米国の国家安全保障上、中国を敵視する人は75%で、過去最高を記録。
・中国の侵略から台湾を守るため米軍の派遣に賛成する人は65%に上った。
・多くの米国人は中国を最大の脅威国と見なし、台湾防衛を望んでいる。
米「ロナルド・レーガン研究所」では、2018年から毎年「レーガン国防サーベイ」という世論調査結果を発表している。米国では、しばしば世論の動向が同国の外交政策を左右する事があるので、注目したい。
昨2021年11月、中国と台湾に関する興味深い結果が公表(a)された。ここで、紹介しよう。まず中国に対する調査である。
第1に、米国が直面する最大の脅威国について、米国民の52%が中国を挙げた。当時(「ロシア・ウクライナ戦争」前)、ロシアと答えたのはわずか14%だったのである。
実は、2018年11月の調査で、米国にとって最大の脅威国は中国だと答えた人々は21%にとどまった。一方、ロシアと答えた人々が30%もいた(現在については後述)。ところが、わずか3年後に、米国人の過半数が、中国こそ米国の最大の脅威国だと認識するようになった(共和党支持者<64%>だけでなく、民主党支持者や無党派層<ともに44%>で中国がトップ)。
第2に、中国は「敵国」か「同盟国」かという質問に対して、65%が「敵国」と答えており、過去3年間で10ポイントも上昇している。2018年には、38%が中国を「同盟国」と見なしていたが、昨年には15ポイントも下がって23%となった。
第3に、米国人の71%が米中間の戦争を懸念しており、共和党支持者が79%、民主党支持者が66%となっている。
第4に、米国が軍事力をどこに集中させるべきかという質問だが、全体では、東アジアと答えた人が37%を占めた。中東と答えた人は17%にとどまっている。この質問には、共和党支持者(43%)、民主党支持者(37%)ともに東アジアがトップとなった。
第5に、米国人は中国による米国への挑戦が多面的だということを認識し始めている。中国に関する最大の関心事は何かと尋ねると、回答者は主な3つの選択肢をほぼ均等に挙げた。経済・貿易問題(20%)、軍事力増強(19%)、人権侵害(17%)である。この質問では、共和党支持者は軍拡を、民主党支持者は人権侵害を強調する傾向があった。
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