南シナ海で中国ロケット破片 比が回収
Japan In-depth / 2022年12月23日 11時0分
大塚智彦(フリージャーナリスト)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・フィリピン沿岸警備隊が、中国によるロケット発射時に落下したとみられる部品を発見、回収。
・中国の海警局とみられる船舶に曳航ロープを切断され、中国側に部品を「奪取」される事案も発生。
・例年1月予定のマルコス大統領と習近平国家主席との首脳会談では、南シナ海問題の協議は不可避。
フィリピンの沿岸警備隊は12月18日、ルソン島中西部サンバレス州スービック沖合の南シナ海で漁船が海上に漂う金属部品を発見、回収したことを明らかにした。中国によるロケット発射時に落下した部品の一部とみられている。
フィリピンではこのところ中国のロケットの部品とみられる金属片の発見が相次いでおり、フィリピン海軍が曳航して回収しようとしたところ、中国の海警局とみられる船舶に曳航ロープを切断され、中国側に「奪取」される事案も起きるなどロケット部品を巡って緊張が高まっている。
フィリピン海軍、沿岸警備隊は南シナ海などで操業する漁船に対し、海上浮遊物が船舶や乗組員にとって危険物であるとして警戒を呼び掛けるとともに、そうした浮遊物を発見した場合は速やかに当局に連絡するように求めている。
フィリピン西方海上では昨年11月以降、中国が発射したロケットの残骸とみられる金属製浮遊物が複数発見されており、フィリピン外務省は中国側に説明を求めると同時に抗議しており、南シナ海を巡っては領有権問題に加えて上空から落下した浮遊物問題が中国との外交関係の新たな焦点となりつつある。
2023年1月にも予定されているマルコス大統領の訪中、習近平国家主席との首脳会談でこうした南シナ海問題が協議される可能性が高くなっている。
■漁船が発見して沿岸警備隊が回収
12月18日に沿岸警備隊が明らかにしたのは16日に比漁船「アキヨ」がルソン島中西部サンバレス州スービックの西方沖約100キロの南シナ海の海上を浮遊する金属とプラスチック製の物体、長さ2メール、幅4メートルを発見した。その後沿岸警備隊が17日に浮遊物を回収した。
浮遊物体は白色で円筒形の物体の一部とみられ、捜査当局などでは10月31日に中国が打ち上げたロケット「長征5号B」からの落下部品と推定している。
沿岸警備隊によると漁船「アキヨ」は11月16日にもサンバレス州沖のバホデマシンロック海域(スカボロー礁周辺海域)南西約70キロの海上で別の浮遊物を発見したが、サイズと水没状態から回
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