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統計に細工を施す中国共産党

Japan In-depth / 2022年12月26日 13時36分

統計に細工を施す中国共産党




澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)





【まとめ】





・中国は2022年11月の「固定資産」グラフを累積で示し、できるだけ数値を大きく見せており、中国経済が順調に伸びていると世界にアピールしている。





・今年11月の「全国不動産開発投資」も1月からの累計となっており、数字の落ち込みを小さく見せている。





・小細工を施すのは中国の隠蔽体質、面子を保つ、孫子の兵法という3つの仮説がある。





 





今、手元に、2022年11月の中国の「社会消費」<グラフ1>がある。(1月、2月以外)各月は単月で前年同月比が表されている。一般的には、このように、単月で示される方が普通である。









▲グラフ1:中国の「社会消費」 出典:国家統計局





一方、同11月の「固定資産投資」<グラフ2>は、各月は単月でなく、1月から11月までの累積(〔1-2月〕、〔1-3月〕、〔1-4月〕・・・〔1-11月〕)で表され、前年同月の累計比が示されている。









▲グラフ2:中国の「固定資産投資」 出典:国家統計局 





なぜ、中国共産党は後者のように、各月別ではなく累計比で統計を出すのだろうか。〔1-2月〕期に関しては、春節(旧正月)を挟むので、一緒にするのはわからなくもない。だが、どうして他の月でも累積で表すのか。





「固定資産投資」には、実際の累積合計値があるので、これを単月ずつ表すと、<表付きグラフ3>となる。例えば、3月の場合、〔1-3月〕-〔1-2月〕で、単月の数値が求められる。同じように、4月の場合、〔1-4月〕-〔1-3月〕で単月の数値が得られる。11月の場合、〔1-11月〕-〔1-10月〕となるだろう。









▲表付きグラフ3:「固定資産投資」の実際の累積合計値を単月ずつに計算





<グラフ2>と<(表付き)グラフ3>を見比べると、(8月と9月を除き)多くの月で累計値の方が各月値よりも大きい。したがって、中国共産党は「固定資産投資」に関して、できるだけ数値を大きく見せようとしているのではないだろうか。





特に、中国の投資はGDPの根幹をなす1番重要な数字だからである(同国のGDPは常に消費よりも投資の方が大きい)。共産党としては、中国経済が順調に伸びていると世界にアピールしたいのではないか。もし、同国経済が低迷しているとわかれば、海外からの投資が減少するかもしれない。そのために、各月値ではなく、累計値を出して“下駄をはかせている”のだろう。





次に、今年11月の「全国不動産開発投資」<グラフ4>も「固定資産投資」と同様、単月の数値ではなく、1月からの累計となっている。これも単月の値を計算すると、<(表付き)グラフ5>が得られる。









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