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日本銀行の金利操作見直し 「利上げ」なのか?

Japan In-depth / 2022年12月27日 23時0分

金融市場の参加者の期待に有効に働き掛けつつ、しかし決定はあくまで事前にスケジュールが公表されている会合において行うというのは確かに難しい。昭和の昔であれば、公定歩合はいつ変わるか分からず、かつその変更について日本銀行総裁は嘘をついても良いとまで言われていた。


金利が自由化された今日の金融市場においては、金利形成に期待が重要な役割を果たす。したがって、もう期待を軽視した政策運営はできない。理屈としては、今回のような運用の変更についても、変更しないこと、変更すること、双方のプラス・マイナスを予めフラットに述べた上で、意思決定のタイミングについては不確実なままにしておくということも理屈上は考え得る。しかし、実践的な言葉のやり取りを想像すると、本当に可能なのかという気もする。関係者の間で、現状認識は共有されるが、しかしアクションをとるタイミングの不確実性はなくならないという状況に至るまでには、まだ試行錯誤が必要なのだろう。


 


・短期金利についての金融市場の判断


 ところで、異次元緩和が続く下で、長期金利を決めるのは中央銀行だという予断が強まり過ぎた気がする。今回の日本銀行の運用見直しを通じて、長期金利の決定においては金融市場の判断も重要なのだということが思い出されるのではないだろうか。


では短期金利についてはどうか。日本の準備預金制度では、民間銀行は、法律上必要な準備預金を1か月の平均として日本銀行の当座預金に積めば良い仕組みになっている。その準備預金の積み期間(16日から翌月の15日)において、短期金融市場では、資金が余剰の日も不足の日ある。政策金利が正であった頃は、政策目標である無担保コール市場のオーバーナイト(今日から明日への1日分の資金の貸し借り)の金利は、日本銀行の誘導目標を中心に資金過不足に応じて一定の範囲で上限に変動していた。


無担保コールのオーバーナイト金利は、現在でも細かく変動してはいるが、緊急時ではないと判断されるのであれば、短期の金融市場の参加者の判断でもっと幅のある変動を許容しても良いのかもしれない。市場機能の改善は、何も長期だけの話ではない。もちろん、現在の経済環境を踏まえれば、「利上げ」の正当化が難しいことは言うまでもない。しかし、現在の目標である-0.1%を中心に、上下±0.1%くらいの変動を許容し、積み期間を平均して-0.1%程度とすれば良いという点を明確にしてみてはどうだろうか。


金融市場の期待が金利形成に大きな影響を与える。その期待とは、本当のところどうなるか分からない明日という未来をどうみるかということだ。その未来をみる金融市場の力が磨かれることは、日本経済を元気にしていく上で是非とも必要だ。それは、長期だけでなく、短期についても言えることだ。


トップ写真:日本銀行


出典:Photo by imagenavi


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