気候危機説による「偽りの緊急性」が人類の未来を奪っている
Japan In-depth / 2023年1月4日 11時0分
のみならず、世界の太陽光発電パネルの供給の半分以上を担う中国の新疆ウイグル自治区では、強制労働などの人権侵害の疑惑が濃厚だ。これは世界規模で太陽光発電産業を脅かす政治的問題となっている。
加えて、太陽光発電や風力発電、蓄電池の製造に必要な材料のグローバルサプライチェーンは、新たな地域紛争、物流問題、供給不足、コスト上昇を生んでいる。また風力・太陽光発電所と送電線に必要な大量の土地の使用は、多くの地域で、景観問題や生態系保護など、土地使用に関する紛争を引き起こしている。
気候変動をめぐっては黙示録的なレトリックが使われる。では、「二酸化炭素の排出削減の緊急性」は、こうした、他の重大な問題すべてを無視し、上書きすべきものなのだろうか?
じつは「気候危機」なるもののニュアンスはここ10年ぐらいでずいぶん変わっている。
2022年末のCOP27では、かつては最も憂慮すべき予測の元となっていた、4℃以上の温暖化をもたらす最も極端な高位の排出シナリオは検討対象から外れている。
ほんの数年前までは、2〜3℃の温暖化をもたらす排出量シナリオは、気候政策の「成功」とみなされていた。そのぐらいまで抑制すれば、さほどの問題はないという相場観があったのだ。
しかし、これは極端な排出削減を正当化するほどのものではなかった。物足りないと思った人々がゴールポストを移動させて、温暖化抑制の目標を1.5℃とした。
この温暖化抑制目標は、江戸時代の終わりごろ、つまり1850頃を基準にしている。当時に比べて地球の気候はすでに約1℃上昇している。
この、じつはゆっくりで僅かしかなかった地球温暖化が起きたことで、現在、気候危機論者は、現在の異常気象はことごとく地球温暖化のせいであるとしている。
いまG7諸国は、異常気象を悉く地球温暖化のせいにすることで、化石燃料から急速に移行する動機づけをしている。
しかしCO2排出量を急減させれば21世紀の異常気象を無くせるという訳では無い。このような錯覚は禁物だ。
異常気象は昔から存在する。地球の気候にそもそも内在する自然現象の一部である。これが地球温暖化のゆっくりとした進行によってどの程度影響を受けているか、判別することさえ極めて困難である。
近代的な観測がなされていなかった歴史時代や、有史以前のデータも含めて過去を振り返ると、地球上のあらゆる場所で、異常気象は常に存在していたことが分かる。
大気中の二酸化炭素を「調整つまみ」とすることで異常気象を最小化できると考えるのは、おとぎ話にすぎない。
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