中国、各国の入国規制に対抗
Japan In-depth / 2023年1月5日 0時0分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2023#1」
2023年1月1-8日
【まとめ】
・中国外交部報道官は「一部の国が中国だけを対象に入国規制を導入したのは科学的根拠に欠ける。一部の過剰な措置は受け入れられない」と表明。
・「中国はさまざまな状況で相互主義の原則に基づいた相応の措置を取る」と述べ、報復を示唆した。
・非科学的で政治目的の「ゼロコロナ」政策を断固として導入したのは中国ではなかったか。
謹賀新年、2023年も宜しくお願い申し上げる。今年の年始も、昨年同様、三が日で終わり、4日からは通常営業が多いのではないか。昨年正月には、「充電」なければ「原稿」なし、「もう少し余裕をもって考え抜いてから原稿を書いてみたい」などと生意気なことを書いた。やれやれ、今年も「考え抜いた原稿」など書けそうもないが、お付き合い下さる読者の皆様に引き続き感謝するとともに、本年も週一回のペースで外交安保カレンダーを書き続けるので、何卒宜しくお願い申し上げる。
さて、今年も新年早々「2023年世界の10大リスク」なるものが発表された。1位は、ウクライナ侵略を続けるロシアが「世界で最も危険なならず者国家」になる、2位は、中国の 習近平国家主席が権力を「極限」まで集中させたが、チェック機能が働かず「習氏が大きなミスをする可能性も高い」などとしている。相変わらず「誰もが考え付くような当たり前の予測と、どうにでも解釈できる予想」ばかりではないか、と思う。
外務省を辞めてから、同業者について公にコメントすることは可能な限り差し控えてきた。専門家の見識にあれこれコメントすること自体、失礼だと思うからだ。しかし、毎年今頃巷に溢れる「10大リスク」モノだけは例外である。読者の皆様はご自分の将来がどうなるかを考えるとき、場末の占い師の予想を参考にするだろうか。しないだろう。国際情勢も同様で、本当に将来何が起こるかを考えたければ、他人に頼るのではなく、ご自分自身の皮膚感覚を磨いて頂きたいと思うのだ。
先週書いた通り、近くCIGS外交安保TVで鈴木一人・東大教授をゲストに迎えた番組を掲載するが、そこで議論したのは、「どこから正しい情報を入手するか」ではなく、まず、今何が起きているかについて自分自身で「正しい仮説」を立て、それを磨いていくことが重要だということ。新たな情報がその「仮説」を補強すれば、その「仮説」はより精度が高まり、逆に、新たな情報がその「仮説」に反する時には、「仮説」自体を修正することも躊躇しない「知的な正直さ」が不可欠だ、と個人的には考えている。詳しくは次回の外交安保カレンダーをご視聴願いたい。
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