1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

全国初の公共施設削減目標 秦野市③「高岡発ニッポン再興」その44

Japan In-depth / 2023年1月10日 11時0分

豪華な建物の一階のロビーは広々としています。そこの空きスペースに秦野緑郵便局に入居してもらったのです。郵便や貯金などの業務だけではなく、そこでは、住民票や印鑑証明書などの引き渡し業務も行っています。


市民の利便性は向上した形だが、保健福祉センターを管轄する市の担当からは、反発が出ました。「人に貸すなら、保健福祉センターはあくまで福祉の充実を図るべきだ」と従来の行政論を展開したのです。


しかし、志村さんはひるみません。保健福祉センターの維持費は年間8000万円かかります。一方、郵便局に貸し出せば、年200万円の賃料が入ります。それを積み立てて将来の改修費などに使うべきだと論じたのです。


「福祉だからといって税金をふんだんに使うことはできない時代だ。従来の福祉行政のやり方に慣れ親しんだ人に、発想を変えてもらうのは簡単ではない」そして、この豪華な保健福祉センターはもう一つ、「カネ」を生み出す施設として大化けしました。志村さんは、部屋ごとの夜間使用率を調べたのです。ほぼ毎晩、どこかの部屋が使われていました。そのため、夜間を閉館するとはいいにくい。


その時、頼ったのもデータです。機能が同じ3つの会議室は、夜間同時に使われる確率はわずか1%だと判明したのです。それなら塾や講座に貸し出すほうが得です。


そんな考えから、始まったのが、「不登校の子の自習室」「高齢者向けパソコン教室」「英会話教室」の3つの教室。使用料は1時間1500円。年間40万円の収入となります。市民の知識の向上を図るとともに、維持管理費に充てる収入を得ることができます。ほかの利用者からの苦情が来ても、1%というデータを提示すれば納得してもらえます。


役所の中の「もんだ族」は、「市民サービスの向上のため」という錦の御旗の下で、通年開館や夜間開館していることを当たり前だと主張します。公共施設は赤字であっても構わないというスタンスなのです。そうした〝抵抗勢力〟に、志村さんはデータを突きつけ、一つ一つの現場で、闘ってきたのです。


(④につづく。①、②はこちらから)


トップ写真:秦野市の保健福祉センター内に誘致した郵便局(筆者提供)


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください