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アメリカ議会、混乱の真相

Japan In-depth / 2023年1月15日 19時3分

造反したのは共和党内でも超保守とされる「フリーダム・コーカス(自由議員会派)」のグループの議員30人ほどだった。これら議員は同コーカスの一議員を議長候補として立て、彼に票を投じた。その結果、本命のマッカーシー議員は当選に必要な下院全体投票数の過半数を獲得できず、再選挙となった。





民主党は自党の院内総務ハキーム・ジェフリーズ議員を議長候補に立てたが、これまた投票数が半数には達せず、落選となった。





下院の規則では議長はその得票が全体投票の過半数を得る候補が出るまで繰り返し実施される。このため1月4日から6日深夜まで合計13回の再投票が続いた。だが共和党側ではなおマッカーシー議員への反対票が出て、決着が着かなかった。しかし7日の未明、当初から数えて第15回目の投票でやっと造反者の数が減り、マッカーシー議員の議長当選が決まった。





この間、共和党の造反議員たちも誰1人として民主党候補には票を投じなかった。この点は今回の共和党内の造反騒ぎを読む際に、重要なポイントである。222人の共和党議員たちは同じ党内の指導者へのノーを一時的に突きつけても、民主党側になびくという人は皆無だったのだ。





ではなぜ造反だったのか。





主流派のマッカーシー議員に当初、難色を示したフリーダム・コーカスは共和党内でも最も保守色が濃く、最もドナルド・トランプ前大統領に近い議員たちの集団である。だからこの集団の反バイデン政権、反民主党という政治姿勢は最も強固だといえる。この集団がマッカーシー議員はまだ十分に保守ではない、十分に反バイデン政権ではない、という不満をぶつけたことが今回の造反の最大要因だったのだ。





ところがそのマッカーシー議員も実はトランプ前大統領には近い。トランプ政権の反リベラル政策、反民主党政策にはすべて同調し、トランプ氏の「2020年の大統領選挙は不正だった」という主張にも同意してきたのだ。そんなマッカーシー議員でさえも同じ共和党内の他の集団からは「十分に保守的ではない」と非難されたのだ。そしてその集団もマッカーシー議員の議長就任には14回も反対しながら、民主党の議長候補にはただの1票も、1回も支援しなかったのだ。





しかもフリーダム・コーカスの議員たちはマッカーシー議員が議長になれば、保守色のより強い政策をとり、バイデン政権への攻撃を強めるという言質を取り付けたうえで、それまでの反対を引っ込めたのである。だからこの騒ぎは下院共和党内の保守志向や民主党糾弾の傾向を強め、トランプ前大統領への支持をも再確認した、という総括ができるのだ。





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