制度的に不可能な国連改革
Japan In-depth / 2023年1月20日 11時0分
「すべての常任理事国を含む」という所がミソである。仮に「総会の3分の2」という第一関門を突破しても、中露両国が共に国内で批准手続きを完了しない限り、日本は永遠に常任理事国となれない。
そして中露が、「アメリカと同盟を組む日本」を新たに常任理事国に加えるような、自らに不利となる(得にならない)憲章改正案を批准するはずがない。
1965年に、非常任理事国を6から11に増やす憲章改正が行われたが、これは常任理事国から見て、自らの権限を弱めることなく「民主的ポーズ」を取れる程度の「改革」だったからに過ぎない。
見返りに中露の身勝手な要求を受け入れる土下座外交を展開すれば(それ自体論外だが)、逆にアメリカの批准を得るのが難しくなろう。米国では、条約(国連憲章改正案もそれに当たる)の批准には上院の3分の2の賛成が必要であり、過半数でよい日本などと比べハードルが高い。常任理事国入りにこだわるならば、日本としては、どう転んでも外交的泥沼にはまらざるを得ない。
2022年5月、来日したバイデン米大統領が、改めて岸田首相に対し「日本の常任理事国入り支持」を表明したが、リップサービス以上のものではない。
その他、現常任理事国の拒否権発動に制約要件を科すような改正についても、以上のメカニズムから、実現不可能である。国連への期待は捨てねばならない。
トップ写真:国連総会で演説する岸田首相 2022年9月20日 アメリカ・ニューヨーク
出典:Photo by Anna Moneymaker/Getty Images
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