今年は地銀株が狙い目【2023年を占う!】国内株式
Japan In-depth / 2023年1月19日 23時0分
佐々木倫子(文筆家/金融アナリスト)
「佐々木倫子の世の中診断 ~人新生を生き抜くヒント~」
【まとめ】
・日本の株式市場では地方銀行株への注目が高まっている。
・地方銀行株は長期的には不安な要素が多いが、短期的には合併・再編等により人気が出る可能性がある。
・近年企業はアクティビストとの対話が重視されている為、社外取締役を経営に活かすことが必要だ。
株式相場には干支にまつわる格言があり、うさぎ年は株価が跳ね上がるとされ「卯(うさぎ)は跳ねる」と言われている。1月4日付の毎日新聞によると、1927~2011年の過去8回の卯年の年初から年末の取引における年間騰落率では、30%を超えた年が計3回(第二次世界大戦勃発の39年、朝鮮戦争特需の51年、ITバブル期の99年)あった。そのため、市場関係者の気運が高まっているのだ。
前回のコラム「地銀が直面するゼロゼロ融資の後遺症」でふれたように地方銀行を取り巻く環境は、かなり厳しい状況で、取り組むべき喫緊の課題が山積している。
また、日銀が欧米の機関投資家の商いが希薄で、クリスマス休暇に入りつつある12月20日に、長期金利操作の許容変動幅を従来のプラスマイナス0.25%から同0.5%に引き上げた。黒田総裁は会見で、長期金利の上限引き上げについて「利上げではない」と説明し、「景気にはむしろプラスではないかと思う」と述べている。それ以来、1月17、18日に開催される金融政策決定会合以降に日銀が大規模緩和策を転換させるとの思惑から、円安、日本株安が進んでおり、市場では日本の金融政策への不信感がさらに高まっている状況だ。
しかしながら、日本の株式市場では地方銀行株(以下、地銀株)への注目が高まっている。地銀株は割安ながらニュースが少なく、注目されづらい業種だったが、金融再編への期待に加え、日本銀行による地域金融強化のための支援策により経営改善が進むとの見方から注目が高まっている。さらに、日銀総裁の交代に伴いマイナス金利が解除により、貸出金利が上昇し、支払った預金の利子より多くの利益(利ざや)を得られる可能性が強まっており、収益の改善が見込まれることもプラス材料と見られているためだ。
今回、地方銀行が注目されていることを象徴する2つの出来事を紹介したい。まず、一つ目は、元お笑い芸人で投資家の井村俊哉氏が第二地方銀行の富山第一銀行(本店:富山県富山市、東証プライム市場)の大株主に名を連ねていることが昨年11月25日に発表された四半期報告書で明らかになった。株主順位は2022年9月30日現在7位で、2.22%の所有だ。このことが明らかになると、同日付の株価取引はストップ高(504円※)で取引を終えた。それまでの終値は400円前後で堅調に値を上げていたが、1月16日付の終値は615円となっている。
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