ビールと法の話 酒にまつわるエトセトラ その3
Japan In-depth / 2023年1月22日 11時0分
本当は
「人の目を潰した者は自身の目も潰される。歯を折った者は歯を折られる」
といったほどのことで、今で言う等価報復主義を法制化したものと考えてよい。
被害を受けたら加害者に罰を与えるが、その「量刑」は被害と同等まで、ということで「倍返し」は許されなかったのである。
ただし、等価報復が認められるのは身分が対等の者同士に限られており、奴隷が主人をビンタしたら耳を切り落とされる、という具合になっていた。その一方では、奴隷にも一定の人権が認められており、これはセム族の社会にあっては例外に近いそうだ。
それがビールとどういう関係があるのか、と思われた向きもあろうが、実は大ありで、
「水で薄めたビールを売って利益を得た者は水責めの刑に処せられる」
という条文が、ちゃんとあった。
古代メソポタミアでは、生水が危険だという事情もあって、ビールが主たる飲料であり、今で言う補助通貨のような役割さえ与えられていた。祝祭の時など、通常の給与とは別に、ボーナスとしてビールが配給されたのである。ちなみに、
「労働者はおよそ2リットル、役人はおよそ3リットル、聖職者はおよそ5リットル」
と定められていた。およそ、というのはメートル法が制定されたのは何千年も後の話になるからだが、それはさておき、メソポタミアの人々にとってビールは、仕事の後の一杯で
「ああ、生き返る」
といったあたりを超えて、まさしく生きる糧だったのである。「液体のパン」という異名も授けられていた。
この「液体のパン」はその後、古代ギリシャ・ローマを経てヨーロッパに広まっていったが、中世までは前回紹介したミードと同様、スパイスやハーブで味付けした物が主流であった。
12世紀に現在のドイツにあるビンゲン修道院において、初めてホップを使用したビールが醸造されたが(異説もある)、ホップそのものは古代エジプトの時代から薬草として知られており、一部地域では栽培も始まっていたようだ。
キリスト教会は飲酒を罪悪視していないし、また、かつて修道院と言えば学問の府でもあり、様々な分野における知見の宝庫であった。この点は日本の仏教寺院も同様で、たとえば五重の塔で知られる法隆寺の正式名称は「法隆学問寺」であるし、江戸時代には私塾の代名詞が「寺子屋」であったことは有名だ。
話を戻して、ホップを利用したビール醸造法は12世紀に始まったが、ホップを利用することで独特の苦みが得られ、かつ腐りにくくなるという知見が広く普及するには、15世紀あたりまでかかったらしい。
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