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劉鶴副首相のダボス会議演説と中国経済

Japan In-depth / 2023年1月28日 19時0分

ところで、国有企業の中国東方航空と中国南方航空が、ニューヨーク証券取引所の上場廃止を申請し、米国市場からの撤退が報じられた(e)。


実は、すでにチャイナ・モバイル(中国移動通信)、チャイナ・ユニコム (中国聯合通信)、チャイナ・テレコム (中国電信)や中石油(中国石油天然気集団公司)、中石化(中国石油化工有限公司)、中国人寿保険、中国アルミニウム、上海石化(中国石化上海石油化工)などが、すでに米国市場から撤退している。


以下は、東方航空と南方航空の主な撤退理由と北京の主張である。


(1)米中関係の緊張は最も大きな障害であり、ワシントンはともすれば国家の力を動員して中国系企業を圧迫する。


(2)ここ数年、中国共産党は重要な情報管理を重視しているので、それらを対外的に公開できない。


(3)米国は無理に中国との経済的デカップリングをしようとしている。


そこで、北京は中国の資産を早期に移転して保全し、リスクを避ける。


(1)に関して、中国IT企業製品には、スパイウェアがしばしば埋め込まれていると言われる。当然、米国は北京による情報漏洩を警戒している。


(2)についてだが、マーケットは企業財務の透明性を求める(情報公開が原則)。しかし、中国共産党はその財務内容を隠蔽したがる傾向にあり、情報公開を逡巡しているのだろう。


(3)の米国が中国との経済的デカップリングしようとしている主な理由は、おそらく以下の2つではないか。


 第1に、デカップリングしないで、中国経済が発展すると、米国の安全保障を脅かしかねない。将来、中国が米国を経済的・軍事的に凌駕し、世界的覇権を掌握しないとも限らないだろう。


 第2に、現時点で、中国が世界的サプライチェーンの重要な一翼を担っている。ただ、同国の政治・経済が不安定だと、物品の流れに支障をきたす。米国はその点も危惧しているのではないだろうか。




 




〔注〕


(a)『新浪財経』「劉鶴はダボスフォーラムに出席、中国経済情勢、不動産リスクの解消、二酸化炭素目標、コロナ防疫などの議題について言及」(2023年1月18日付)


(https://finance.sina.com.cn/stock/usstock/c/2023-01-18/doc-imyaqraq5655890.shtml)


(b)『The Hill』「ダボス会議での中国の劉鶴副首相 すべての言葉は嘘だった」(2023年1月21日付)


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