1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

インド「アダニ・グループ」の勢いは本物か

Japan In-depth / 2023年1月31日 18時0分

インド「アダニ・グループ」の勢いは本物か


中村悦二(フリージャーナリスト)





【まとめ】


・インドの株式時価総額トップ3の一角、アダニ・グループ急成長に懐疑的見方。


・アダニ・グループは租税回避地を不適切に利用か。


・同グループ会長は「10年間で1000億ドルの投資」を表明。邦銀も貸手となっている。


 


インドの企業ないし企業グループにあって、自社あるいは傘下企業の株式の時価総額トップ3はタタ財閥、アダニ・グループ、リライアンス・インダストリーズ。タタは出自がイスラム隆盛のイランからインドに逃れ居住を許されたパールシー(拝火教徒)。インド的で勢いが良いのはアダニ・グループとリライアンス・インダストリーズだ。特に、アダニ・グループの急成長が目立つが、最近、「その勢いは本物か」といった見方が出てきて注目されている。


米国の経済誌フォーブスの2022年版世界長者番付(2022年4月初旬発表)によると、リライアンス・インダストリーズのムケシュ・アンバーニが資産額907億ドル(11兆1600億円)で10位、アダニ・グループのゴータム・アダニが同900億ドルで11位にランクされている。その上位は米国の錚々たる経営者とフランスのLVMHのベルナール・アルノーで占められた。


同誌はリアルタイムでの世界長者番付を出しており、昨年9月16日段階で、ゴータム・アダニは傘下企業の株価急上昇で同1522億ドル(21兆8000億円)となり、2位に駆け上がった。しかし、今年1月26日段階では、米国の規制当局調査を招来することで知られる空売り筋のリポート発表を受け、株価は急落。4位に落ちている。



写真:ゴータム・アダニ会長(2006年3月 印・アーメダバード)


出典:Photo by Kalpit Bhachech/Dipam Bhachech/Getty Images


ゴータム・アダニは大学中退後の1988年にコモディティの貿易会社アダニ・エンタプライゼズを設立して事業展開を図り、現在、同社が持株会社的存在で、港湾管理・運営や運輸、発電・送配電の電力分野、太陽光発電など再生可能エネルギー分野、天然ガス、不動産などの傘下企業を持つ。同グループは昨年、ゴータム・アダニと同郷のモディ首相が力を入れるインフラ整備での需要増を見込み、スイスのホルシムからインドのセメント事業を105億ドル(約1兆3500億円)で買収している。


一方、ムケシュ・アンバーニが率いるリライアンス・インダストリーズは、父親のディルバイ・アンバーニがアラビア半島南端のイエメンの港湾都市アデンに渡り、石油スタンドの下働きを始めたのが端緒。ディルバイ・アンバーニはインドに帰国後、コモディティの商社を設立し、以後、繊維・石油化学などと事業を拡大。アデン生まれのムケシュ・アンバーニが事業を引継いでからは、移動体通信システム、小売り、金融サービス、保険などの分野へ事業を拡大している。


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください