新型コロナは感染症法「5類」へ。ワクチンの集団接種はどうなる?どうすべき?
Japan In-depth / 2023年2月2日 23時0分
高橋謙造(帝京大学大学院公衆衛生学研究科教授)
【まとめ】
・新型コロナウイルス感染症法上の扱いについて、5月8日には「5類」移行がほぼ決定。
・現在の集団接種体制を維持した方が最も効果的、効率的である。
・「5類」指定されれば、新たな感染拡大、重症者、死亡者の増加という「人災」を招く可能性がある。
2023年1月20日に、岸田文雄首相は、新型コロナウイルス(以下、コロナ)の感染症法上の扱いについて、今春に季節性インフルエンザと同じ「5類」へ移すよう指示し、5月8日には「5類」移行がほぼ決定しました。
コロナは2020年の2月に法改正で、「新型インフルエンザ等感染症」に位置づけられ、外出自粛要請など「2類」よりも厳しい措置がとれるほか、緊急事態宣言のような強い行動制限ができるような感染症に指定されていました。
この「2類」、「5類」という感染症法上の分類は、法律が成立するまでに知られていた、既知の感染症、ウイルスに対して設定されたものです。それを、新型コロナウイルス感染症という未知の性質(初期ウイルスの高い致死率、長いウイルス生存時間、長い潜伏期間、高率な無症状感染)をもった感染症に、ある意味では「強引に」当てはめていたものです。
今春から、「5類」へ移行した場合に、気になるのは無料のコロナワクチン接種がどうなるのか?という点です。
これまでのコロナのワクチン接種は、「まん延予防上緊急の必要がある」として、予防接種法の「特例臨時接種」として無料での接種が進められてきました。それが「5類」へ移行した場合には、まん延予防上の「緊急の」必要性は認められなくなってしまう可能性があります。つまり、法的な根拠が曖昧になってしまうのです。
この点について、東京都医師会の尾崎治夫会長などは、「高齢者や基礎疾患を有する人だけでも無料接種を継続すべき」と提言されています。
現時点で、ワクチン接種による重症化、死亡の予防効果は明らかになってきています。有料化すれば、接種率は下がってしまうでしょう。つまり住民を守ることが難しくなる可能性が出てくるのです。
よしんば、無料接種が継続されたとしても、集団接種がどうなるのかも気になるところです。現状では、集団接種として集約的に行われているワクチン接種ですが、これが、もしも個別接種の扱いで、各クリニックに委託されるようになった場合を想定してみます。日本の自治体の約8割は人口7.5万人未満の規模です。クリニックの数も決して多いとはいえないので、集団接種に頼っているところが多いでしょう。
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