「南北分断」解決の歴史「高岡発ニッポン再興」その51
Japan In-depth / 2023年2月4日 11時0分
平成12年に北陸新幹線が富山駅まで延伸されることになり、これに合わせて在来線も高架化すべきチャンスが訪れました。しかし、鉄道(在来線)高架化には富山港線が入るスペースはありませんでした。
そこで、富山港線は路線変更して、路面電車として富山駅に乗り入れることにしました。そうすれば鉄道高架化により南北路面電車が接続できる。そんな構想を描いたのです。
そうした県、市の強い思いが国にも届いて、国の鉄道高架化の採択基準も緩和されました。その結果、それまでは無理だった富山駅の連続立体交差事業(県施工)が、平成15年に国の補助事業に採択されたのです。
林市長は「県職員時代は、昭和63年の『とやま都市MIRAI計画』から新幹線誘致など、ずっと富山駅周辺整備に関わってきた者として、思い出に残る事業でした」と語っています。
この補助金が獲得できたからこそ、連続立体交差事業の実現が可能になりました。対象となったのは、あいの風とやま鉄道線1.8キロ、富山地方鉄道1.0キロです。
平成14年に就任した富山市の森雅志前市長も南北一体化に意欲を示しました。人口減少がいち早く到来すると予想、30年先を見据えたまちづくりをしました。公共交通を軸としてコンパクトシティーを掲げました。
それでは一体、この事業いくらかかるのでしょうか。総額421億円です。そのうち鉄道会社の負担は数パーセント。残る金額のうち国が半分ほどで、県と市が4分の1ずつ出して、南北一体化を成し遂げたのです。
県と市が合わせて200億円。巨額かもしれませんが、すでに地価上昇など効果が出ています。30年、40年先を見据えれば、それほど高くないのかもれませんね。まちづくりは長い時間がかかります。
富山市民にとって南北接続は「100年の夢」。長い年月をかけたプロジェクトです。林さん、森さん、もちろんほかにも多くの関係者の皆さまの奮闘で、南北接続は完成しました。歴史を振り返り、改めて痛感します。将来を読む力、グランドデザインを描く力、大事ですね。私も歴史の証人として、将来を見据えて政策づくりを実践したいと思っています。
トップ写真:高架化され、南北接続した路面電車(筆者提供)
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