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官邸の稚拙なリスクマネジメント

Japan In-depth / 2023年2月5日 7時56分

官邸の稚拙なリスクマネジメント


安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)





 


【まとめ】


・総理秘書官が問題発言で4日、更迭された。


・オフレコ発言だが、内容が問題され、各新聞テレビが報じた結果。


・マスコミはオフレコだろうが報道するもの。それを肝に銘じることだ。


 


総理秘書官が4日、更迭された。なんでもLGBTに関しての差別的な発言が問題視されたという。ニュースを聞いていてあれ?と思った方もおられるだろう。


「オフレコの取材の中で・・」と言う部分だ。「オフレコ」なのになんでそれが報じられてるの?と疑問に思う人がいてもおかしくない。ニュースは不親切なのでその疑問に答えてはくれない。


官邸には大手マスコミの記者が常駐している。テレビの東京キー局や全国紙、ブロック紙、通信社などの記者だ。彼らは総理だけでなく、官邸に出入りする政治家や民間人に加え、官邸幹部から情報を取るのが仕事である。


よく総理大臣に向かって、「総理!おはようございます!」とか、「総理、~についてどう思いますか!」とか叫んでいるのが彼らだ。俗に総理番という。またぶら下がり会見(一人の相手に複数の社の記者が囲んでインタビューする形式。マイクは幹事社の記者が束ねて持つ)の周りに群がっているのも官邸に常駐している記者たちだ。


オンレコ(on the record)とオフレコ(off the record)の違いは、前者が公表を前提としているのに対し、後者は公表されないことが前提となっている。なぜオフレコ取材が存在するかというと、情報提供者が記者に情報を伝えやすくするためだ。匿名が前提となるので、政策決定や政権運営の背景などが入手しやすくなる。


オフレコなのにこうして報じられてしまうのはルール違反ではないか、と思う人もいるかもしれないが、過去、オフレコ発言が世の中に出たことは枚挙に暇が無い。マスコミとは、その発言がニュース性があると判断すれば、報じるものなのだ。


したがって、私が危機管理の話をするとき必ず言うことがある。それは、「取材にオフレコは存在しないものと思え」ということだ。マスコミのこうした習性を知っている老獪な政治家などは、「オフレコだけど・・・」と枕詞を言ってわざわざマスコミに書かせることもあるくらいだ。マスコミ側も知っていて書くわけだ。持ちつ持たれつとはこのことだろう。


話を某秘書官に戻すと、なんでも広報担当だったという。官僚に広報を担当させてはいけない。なにせ、自分で取材したことがないわけだから、マスコミの記者の習性などわかろうはずもない。いや、わかっていたつもりなのかもしれないが、普段付き合っている記者らがオフレコ発言を鬼の首を取ったかのごとく報じるとは夢にも思わなかったのかもしれない。


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