1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

女性政治家ならではの国際的役割

Japan In-depth / 2023年2月7日 16時0分

女性政治家ならではの国際的役割




島田洋一(福井県立大学教授)





「島田洋一の国際政治力」





【まとめ】





・男か女かトランスジェンダーか等々を問わず、政治的見識および能力が高い人が立候補し、議員になるべき。





・人権は単に人道上の問題ではなく、安全保障問題でもある。





・男女問わず、国際社会においても堂々と人権問題を持ち出すことができる議員が増えていくことを強く望む。





 





与野党問わず、女性議員を増やすべきだという声をよく聞く。クオータ制導入(女性候補の割合を一定以上とする)との主張すらある。





基本的な答えは簡単で、男か女かトランスジェンダーか等々を問わず、政治的見識および能力が高い人が立候補し、議員になるべきである。





とは言え、女性ならでは、あるいは女性が訴えたほうがよりインパクトが強いといった問題はあるだろう。





例えば慰安婦問題をめぐる虚偽への反論、すなわち日本軍が若い女性を強制連行して性奴隷にしたという、いまだ国際社会に流布している誤った認識への反論は、男が行うと無反省な自己弁護と受け取られやすい。女性のほうが、少なくとも周りは、ひとまず聞こうという姿勢を取るだろう。





また女性に対する人権蹂躙も、やはり女性が立って批判したほうが、より切実かつ実感を持って響きを持つ。





その点、女性のみの議員外交において、反面教師とすべき残念な事例があった。





2017年7月12日、長く獄に囚われてきた中国の民主活動家でノーベル平和賞受賞者としても知られる劉暁波の危篤が伝えられる中、日本の女性国会議員団9人(野田聖子団長、他に自民、公明から8人)が中国政府の招きで訪中した(劉はその翌日に死去)。





一行に応対した、習近平国家主席の忠実な部下であるがゆえに出世したに過ぎない女性副首相の「女性政治家は、同じことをするにも男性より多くの努力が必要だ」といった、型通りの訓戒に「議員団全員が深く頷いていた」という。





当時、米欧の議会では、劉暁波を海外に移送しての治療および軟禁状態に置かれている劉霞夫人の出国を求める声が高まっていた。多くの女性議員も声を上げていた。ところが野田訪中団は、劉暁波についてはもちろん、同じ女性である夫人の解放にも一切言及していない。





この時期の、女性だけの議員団の訪中に特別の意味があるとすれば、迫害されている女性の問題を最優先で取り上げることだろう。逆に抑圧側の幹部とただ談笑して帰ってくれば、迫害を公然と黙認したことになる。





当時私は、こんな女性議員たちをいくら増やしても、国際社会から侮蔑されるだけ、恥ずべき姿を世界に示したと怒りを禁じえなかった。









この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください