中国海警局の妨害激化 南シナ海
Japan In-depth / 2023年2月10日 18時0分
こうした米比の動きが今回一連の海警局船舶による過激な行動に反映されているとみられている。
■周辺国の海底資源探査にも関心
中国はフィリピンだけでなくベトナム、マレーシア、ブルネイなどと南シナ海の領有権を巡って対立しているが、最近は特にマレーシアのボルネオ島西部海域で進む海底資源である石油や天然ガスの探索活動にも海警局船舶を派遣し、マレーシアのEEZに侵入してまで監視活動を強化している。
さらに直接的に中国とは領有権問題を抱えてはいないものの、自国のEEZが中国による一方的な主張で海洋権益圏と称する「九段線」と重複するなどとの「言いがかり」をつけられているインドネシアも南シナ海南端に位置するインドネシア領ナツナ諸島の周辺海域で進めている海底資源探査に中国が関心を示しているという。
同様の動きはベトナムの海洋資源開発の現場周辺海域でも発生しているとされ、中国が南シナ海での周辺国の海底資源開発に関心を抱き、あわよくば「九段線」の権益海域内と主張して、資源開発を「乗っ取る」か「共同開発」に今後持ち込もうと難題を吹っかけてくる可能性も指摘されている。
■南シナ海の行動規範策定へ交渉加速
こうした中国の南シナ海での動きの活発化を受けて地域連合である東南アジア諸国連合(ASEAN)は2月4日にインドネシアのジャカルタで外相会議を開催し、今後加盟国間での南シナ海に関する紛争防止に向けた「行動規範(COC)」の最終的な合意に向けた協議を加速する姿勢を打ち出した。
2023年のASEAN議長国であるインドネシアのルトノ・マルスディ外相は、外相会議を受けて中国と他のASEAN加盟国による協議の進展を促すことで最終的な合意を達成したいと意欲を見せた。
「インド太平洋に関するASEANの今後の見通しは外相会議で議論され、COCの交渉をできるだけ早期に終わらせるとの見通しについても議論された」とルトノ・マルスディ外相は明らかにし、ASEANとして2023年はミャンマー問題と同時に南シナ海問題が大きな課題となるとの見通しを示した。
COCに関しては一部の加盟国が中国との関係を優先してASEANとしてのコンセンサスが得られない状況となっている。
COCは2017年8月のASEAN・中国の外相会議で「枠組み」で合意し、2018年のASEAN・中国首脳会議では「3年以内の策定」で合意、2019年の同首脳会議で2年以内の策定で一致したという経緯がある。
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