中国艦艇、比沿岸警備艇にレーザー照射
Japan In-depth / 2023年2月17日 7時0分
大塚智彦(フリージャーナリスト)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・中国海警局船舶がフィリピンの沿岸警備隊艦艇にレーザーを照射。
・比外務省は中国に対して抗議したが、中国側は自らの行動を正当化。
・南シナ海での緊張は一気に高まりで、国際社会も中国の強引で一方的、勝手な手法に対し警戒を強めている。
南シナ海のフィリピンが実効支配している排他的経済水域(EEZ)にあるアユンギン礁周辺海域で、中国の海警局船舶がフィリピンの沿岸警備隊艦艇にレーザーを照射する事案が発生し、比政府が中国に激しく抗議する事態となっている。
レーザー照射は2月6日にフィリピン南西部パラワン島沖にあるアユンギン礁周辺海域で同礁に座礁させ海兵隊員が常駐して「実効支配」を続けている「シェエラマド」艦に食料や日用品などの物資を補給するために航行していた比沿岸警備隊の艦艇「マラバスクア」に対して行われた。
レーザー照射は中国の海警局船舶「5205」から行われたもので、「マラバスクア」の艦橋にいた比沿岸警備隊員らが一時的に失明状態となったと沿岸警備隊は明らかにしている。
このレーザー照射事案は2月13日に沿岸警備隊が発表して明らかになり、比マスコミが一斉に大きく伝えた。
比沿岸警備隊艦艇「マラバスクア」に対する中国の「5205」からのレーザー照射は約7.4キロ離れた海上から受けたもので、沿岸警備隊がその際の映像を公開している。
それによると「5205」から軍事用とみられる緑色の光線が一直線に「マラバスクア」に照射される様子が生々しく捉えられている。
沿岸警備隊によると「5205」はこの後「マラバスクア」の右舷後方約130メートルまで接近して危険な操船で妨害行動を繰り返し、危険回避のため「マラバスクア」は進路変更を余儀なくされたとしている。
フィリピン外務省はレーザー照射が「軍事的攻撃」にも匹敵する重大な行為であるとして中国政府に厳しい抗議を突きつけた。
■中国は自国領海と主張
しかし中国外務省の王文斌報道官は2月13日の定例会見の席で「フィリピンは南シナ海での中国の海洋権益を尊重すべきである。今回の事案は比艦艇が中国の領海に侵入したことが原因である。現場での中国の対応は抑制的だった」と中国の立場を繰り返しながらフィリピンの非を指摘した。
事態を重視したマルコス大統領は14日に駐マニラ中国大使館の黄渓連大使をマラカニアン大統領官邸に召喚し、レーザー照射が「極めて重大で遺憾な行動である」とのメッセージを直接伝え抗議した。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
バイデン氏、中国と衝突回避で対話維持も覇権阻止できず トランプ政権はディールで圧力
産経ニュース / 2024年11月17日 17時24分
-
フィリピンが南シナ海座礁艦船に物資補給、中国は「許可」と主張
ロイター / 2024年11月15日 14時16分
-
フィリピン、中国大使を呼び抗議 南シナ海の領海基線巡り応酬
ロイター / 2024年11月14日 1時43分
-
中国へのけん制?「一気に40隻購入!」フランスの援助で比沿岸警備隊の規模4倍に
乗りものニュース / 2024年11月11日 15時12分
-
フィリピン大統領、南シナ海の権益守る法案に署名 中国は反発
ロイター / 2024年11月8日 18時51分
ランキング
-
1池袋暴走事故の飯塚幸三受刑者(93)が死亡 松永拓也さん「後悔や経験の言葉を託された。死を無駄にしたくない」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月25日 11時38分
-
2ALS嘱託殺人 被告の医師に2審も懲役18年 大阪高裁が控訴棄却
毎日新聞 / 2024年11月25日 10時51分
-
3高市早苗氏はいつ「タカ派政治家」になったのか…「ポスト石破」に一番近い女性政治家の"克服すべき弱点"
プレジデントオンライン / 2024年11月25日 8時15分
-
4【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
NEWSポストセブン / 2024年11月25日 7時15分
-
5「佐渡島の金山」の追悼式には不参加 韓国側が佐渡市で独自の追悼行事 《新潟》
TeNYテレビ新潟 / 2024年11月25日 12時1分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください