仏、薬物使用による交通事故の行方
Japan In-depth / 2023年2月19日 11時0分
■ フランスの胎児の死に対する状況
ここで注目を集めているのは、パルマード氏に胎児の過失致死罪を問えるかという問題である。フランスの最高裁判所である破毀院で2001年に出された判決によれば、胎児の死は殺人とはされない。一方、事故が子供の早産を引き起こし、その子供がその後まもなく死亡した場合は、過失致死の資格を保持することができる。子供が生まれない限り完全な人間とは見なされず、法人格を持たないため被害者とはみなされないのだ。
だがそれでも、2014年にフランス南西部のタルブの刑事裁判所で、運転者が胎児に対して殺人の罪で有罪判決を受けたことがある。この男性は飲酒運転で事故を起こし、胎児が事故の衝撃で亡くなったと結論づけた。しかしながら、翌年、ポー控訴裁判所が最終的にこの有罪判決を覆したため、最終的には殺人には適用されなかった。
ちなみに、薬物検査で陽性になった場合の交通事故での罰則は下記である。
最長 2 年の懲役と 4500 ユーロの罰金。人身傷害の場合、最大5 年の懲役および 75000 ユーロの罰金。死亡事故の場合、最大7 年の懲役および 100000 ユーロの罰金 (運転手が次の場合、10 年の懲役および 150000 ユーロの罰金)。
この件に関しては、20日の月曜日に話し合いが始まる予定となっており、死亡事故かそうでないかで判決結果も変わってくるため、胎児の死に対してどのような判断が下されるかが気になるところである。
■ 日仏で大きく異なる交通死亡事故の原因
つい最近、フランスでは交通事故で亡くなる男性の割合が、全体の78%として「あなたがなりたい男になりなさい、しかし生きている男になりなさい」と呼びかけるキャンペーンが行われた。これは、男性が社会的に強い男が求められ、危険を顧みないことで強さを示すのはやめてくださいという趣旨であり、ジェンダーすなわち、生物学的な性別に対して社会的・文化的につくられるステレオタイプなイメージに従うことなく自分がなりたい自分でいるなら、危険を顧みない行為はしなくなるだろうという前提から作られている。
確かにマッチョが求められる西洋文明ではあるが、実際のところそういった社会的要因から男性の交通事故での死亡率が高くなるという点については明確な根拠はないと言える。内閣府の「令和3年中の道路交通事故の状況」を見ると日本でも交通事故での男性の死亡率は約80%前後であり、男女の交通事故での死亡率の比率ではフランスも日本もそう変わりない。
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