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ペロリストとホリエモン オワコン列伝 その2

Japan In-depth / 2023年2月20日 12時22分

たしかにロンドンやパリでは屋外の自動販売機はあまり見かけないが、それは、人通りの少ない場所に設置などしようものなら、たちまち破壊されて小銭や商品を奪われるリスクがあるからだ。日本ではそうしたリスクが少ない、すなわち「民度が高い」からこそ、自動販売機が多い。海外生活を経験した者にとっては、常識に属することである。


それと同じで、ネット社会となる以前も、バイトテロのような行為は、もちろん絶無ではなかったろう(堀江氏も、学生時代に塾講師をした際の見聞として実例を挙げている)が、全体としては、飲食店における日本人のマナーが信頼に足るものであったからこそ、回転寿司やセルフうどんのような業態がここまで浸透したのだと私は考える。


可視化されただけ、という意見は、他にも幾人かの識者が開陳しているが、これもまた、一面の真理はあるにせよ、ニワトリと卵みたいな側面もあったのではないか。


ネットに画像をアップし、瞬時に世界中から注目を集めることも可能となったがために、歪んだ承認欲求が加速して、こうした迷惑行為の動機となったとも考え得る。端的に、本当に誰の目にも触れないとしたら「湯飲みペロペロ」や「おでんツンツン」の、一体なにが面白いのか、という話だ。


そして、ここからが堀江氏の真骨頂となるのだが、前述の株価下落の話を引き合いに、こうした行為をさせることで、株価を故意に下落させ、空売りで儲けようとする手合いが現れる可能性について言及した。


本誌の読者には、おそらく釈迦に説法だろうが、株取引というのは実際に株券が手元になくともできるので、言い換えれば自分の所有物ではない株を売買することも可能である。


この株は下がる、とあらかじめ分かっていたならば、その時点で売っておき、値下がりしたところで買い戻せば差額が利益になるというわけだ。


堀江氏自身も言及しているが、昭和世代は「グリコ森永事件」が未だ記憶に残っている。


1984年から85年にかけて起きた企業恐喝ならびに誘拐事件で、まずグリコの社長が誘拐・監禁されたのを皮切りに、カナタイプで「どくいり きけん たべたら しぬで」などと書かれた紙が貼られた菓子が売り場に置かれ、実際に青酸化合物が検出された。


そして「かい人21面相」を名乗る犯人グループから、犯行声明や金銭を要求する手紙が、報道機関などに送りつけられたのである。


これを機に「劇場型犯罪」という言葉が人口に膾炙するようになったが、現金の受け渡しも、その場で犯人を逮捕しようという警察の目論見も、ともに失敗に終わった。


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