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少子化対策と卵子凍結

Japan In-depth / 2023年2月20日 23時0分

浦安市のプロジェクトでも東京都と同様、若い方が卵子凍結を受けやすくなるよう費用のサポートしたのですが、キャリアアップのために行う方々のみならず、がんではないご病気による妊孕性低下や、パートナーはいるものの、経済的な理由ですぐに結婚できない、など海外の事例とは少し違った理由もありました。





当時は女性の「わがまま」と批判されたこともあったのですが、決してそのようなことではなく、切実な理由も多く、そもそも「わがまま」と批判した方々こそ、何かパターナリズムを押し付けているように感じられたのです。





2018年には、ASRMがこれまでの「医原性」と「社会性」というカテゴリー分けよりも、例えばがん治療までの時間に余裕の無い「緊急性」と、女性がご自身のライフプランとして考える「計画性」とに分けるべきである、という考えが発表されています4)。





男女ともにお若いうちに経済的にも、ご自身のキャリアアップにも影響することなく、妊娠・出産ができることが理想ではあると考えますが、実際には難しいのが現実だと思います。浦安市での研究では経済的な理由で妊娠を先延ばしするために卵子凍結を行った方もいらっしゃいましたが、少子化の要因はそのような点にもあるわけですから、政治には何より子供を産み・育てやすい社会の構築を望みます。





今回の東京都の卵子凍結助成は、そのような社会の構築のための努力を怠ることなく、さらに女性のライフプランのための選択肢を増やす、という意味で評価されるべきだと考えます。





卵子凍結はリスクが0ではありませんし、将来の妊娠を100%約束できるわけでもない「医療行為」であることは知っておいた方が良いでしょう。さらに凍結延長のために追加費用が掛かる可能性もあります。穿った考えをすれば、「若さ」につけこむビジネスになってしまうかもしれません。





そもそも結婚・妊娠・出産は予定通りにはならないことも多いですし、浦安市でのプロジェクトにおいては、凍結した卵子で出産された方もいらっしゃいましたが、逆に凍結卵子を使用せずにご妊娠・ご出産された方々もいらっしゃいました。そして、凍結卵子を使用しても妊娠に至らなかった方もいらっしゃいました。卵子を融解してダメだった時は、それまでのご負担・コスト・それまで寄せていた期待すべてが無になってしまいます。





それでも私は、ご自身のライフプランの一環として「計画的」に行う卵子凍結を必要としている方がいらっしゃると考えます。東京都の助成は、あくまで可能性のための選択肢への助成だと考えていただきたいと思います。そのような方々にとって、この記事が一助となれば幸いです。





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