中国、トリレンマをどう乗り切る?
Japan In-depth / 2023年2月22日 7時0分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2023#8」
2023年2月20-26日
【まとめ】
・王毅・中国共産党中央外事工作委員会弁公室主任が訪欧。
・中国のトリレンマ。①対米関係改善②対ロシア支援継続、③欧米NATO分断。
・それぞれ目的達成は難しいようで、この難局を中国はどう乗り切るのか。
よせば良いのに、先週末も海外出張を入れてしまった。帰国前にバイデン大統領がポーランドで重要演説を行うと報じられていた。これはウクライナ「電撃」訪問があるだろう、と誰もが思っただろう。帰国後、案の定、大統領はウクライナを訪問したため、早速ある人からこう聞かれた。「岸田総理はウクライナに行かないのか」と・・・。
筆者は、「総理の日々の日程を承知する立場にはないが、そんな日程、知っていれば絶対に言わないし、知らなければ対外的に言いようがない。いずれにせよ、日本のメディアが日程の秘密を守ればウクライナには行けるし、守れないなら行けないだろう」「そもそも日本の総理がどうしても行く必要があるとは思えない」と答えた。
先週は「オフレコ破り」の話をしたが、これも基本的には同じ話である。日本の政治家には秘密を守る権利がないと言ったのはキッシンジャーだが、あれから半世紀経っても、日本の為政者には秘密を守る権利がないようだ。ホワイトハウス界隈には、その種のオフレコ情報を「内容が重大」だといって報じるジャーナリストなどいない。
▲写真 ウクライナを電撃訪問しゼレンスキー大統領夫妻に出迎えられるバイデン米大統領(2023年2月20日、ウクライナ・キーウ)出典:Photo by Ukrainian Presidential Press Office via Getty Images
この関連でもう一つ気になったのが王毅・中国共産党中央外事工作委員会弁公室主任(長い肩書なので、どのマスコミも「政治局員」としている)の訪欧である。この点は今週の産経新聞のコラムで取り上げたので、そちらをご一読願いたいが、簡単に言えば今の中国はトリレンマ(三つの矛盾)に直面している、ということだ。
三つのジレンマというか、三つの目的は①対米関係の改善、②対ロシア支援の継続、③欧米NATOの分断であるが、①はスパイ気球撃墜事件で、②は米国からの「対露殺傷兵器供与」に関する圧力で、③はNATOの結束が予想以上に強固で、それぞれ目的達成は難しいようだ。この難局を中国はどう乗り切るのだろうか。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
中ロ第19回戦略安全保障協議が間もなく開催―中国外交部
Record China / 2024年11月12日 12時20分
-
トランプ氏、国務長官に対中強硬派ルビオ氏指名へ 米報道、安保補佐官にウォルツ氏打診
産経ニュース / 2024年11月12日 12時1分
-
【トランプ政権】日本への要求は増す?石破総理は政権基盤が弱く「やや軽んじられるのでは」 トランプ氏にとって一番"おいしい"シナリオとは...【国際政治学者が解説】
MBSニュース / 2024年11月8日 12時1分
-
米大統領選はトランプ氏圧勝。「祝福」を送った中国政府が抱く三つの意図とは?
トウシル / 2024年11月7日 18時0分
-
アングル:「トランプ外交」再び、戦火の世界が向かうのは混乱か緩和か
ロイター / 2024年11月7日 17時21分
ランキング
-
1【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
NEWSポストセブン / 2024年11月25日 7時15分
-
2池袋暴走事故の飯塚幸三受刑者(93)が死亡 松永拓也さん「後悔や経験の言葉を託された。死を無駄にしたくない」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月25日 11時38分
-
3バイクパーツに「打倒県警」 SNSで集まり少人数ゲリラ化 暴走から空ぶかし「コール」合戦に 急増する騒音通報に沖縄県警「検挙は難しい」理由は
沖縄タイムス+プラス / 2024年11月25日 8時30分
-
4高市早苗氏はいつ「タカ派政治家」になったのか…「ポスト石破」に一番近い女性政治家の"克服すべき弱点"
プレジデントオンライン / 2024年11月25日 8時15分
-
579歳の男が大家に包丁突きつけ「刺してやる」 ステレオの音が大きいと注意されたことに腹を立て 札幌市
STVニュース北海道 / 2024年11月25日 7時15分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください