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問われる岸田外交の真価

Japan In-depth / 2023年2月22日 18時0分

国家安保戦略に次いで位置付けられる「国家防衛戦略」では、同志国との連携の強化について、「力による一方的な現状変更やその試みに対抗し、我が国の安全保障を確保するためには、同盟国のみならず、一か国でも多くの国々と連携を強化することが極めて重要である。その観点から、FOIP(筆者注:Free and Open Indo-Pacific 自由で開かれたインド太平洋)というビジョンの実現に資する取組を進めていく」と書き込まれた。そして想定される協力相手について、具体的な国名が挙げられたのだ。筆頭に位置付けられたのが、オーストラリアであり、次いでインドがリストアップされた。


オーストラリアとインドの次のカテゴリーに並べられたのが、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアであり、「グローバルな安全保障上の課題のみならず、欧州及びインド太平洋地域の課題に相互に関与を強化する」との記述が盛り込まれた。カナダについても、「インド太平洋地域の課題に更に連携して取り組む」という形で触れられた。以上のように国家防衛戦略は、アメリカ以外のG7メンバー国すべてについて、国名を明示する形で、連携強化を打ち出したのだった。


岸田総理は、本年1月に1週間を費やして、ヨーロッパと北アメリカを歴訪した。訪問先となったフランス、イタリア、イギリス、カナダ、アメリカの5か国は、すべてがG7のメンバー国である。岸田総理が年頭にあたって、外遊に出掛けた背景には、通常国会によって始まる内政の季節の前に、外交に注力しようという思惑があったといえよう。もちろん、本年5月に予定されている広島サミットのために、地ならしをという意味もあった。だがより広い文脈では、安保三文書で謳われている同志国との連携という方針が、欧米歴訪の裏にあったといえよう。


訪米した岸田総理は日米首脳会談で、「新たな国家安全保障戦略等に基づき、反撃能力の保有を含む防衛力の抜本的強化及び防衛予算の相当な増額を行っていく」と述べたのに対して、バイデン大統領からは、「改めて全面的な支持」が表明された。


本稿で取り上げた同志国との連携は、インド太平洋というコンセプトと並んで、故安倍晋三元総理のレガシー(遺産)である。そうした意味で現在の岸田外交は、安倍外交の方向性との親和性が高く、その延長線上に位置付けて差し支えなかろう。


安保三文書によって打ち出された方針が、具現化されるかどうかが、今後の焦点である。内政の季節を切り抜けて、外交安全保障において成果を上げることができるのかどうか。岸田外交の真価が、今後問われることとなる。


トップ写真:「日英部隊間協力円滑化協定」に署名する英国のスナク首相 (右) と日本の岸田文夫首相(2023年1月11日イギリス・ロンドン)出典:Photo by Carl Court/Getty Images


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