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中国の脅威への対処法 その8 歴史に目を曇らせるな

Japan In-depth / 2023年2月22日 23時0分

日本と中国の利害がぶつかる場合に、「日本はとにかく軍隊で中国に侵略して悪いことをたくさんしたのだから」と指摘する人たちがいた。日本の古い世代の政治家とか古い財界人の一部だった。外務省の中国担当のいわゆるチャイナ・スクールの人たちにも、そんな声があった。


そういう向きが指摘するのは日本軍の中国での軍事活動である。より具体的にはこの日本の軍事行動全体を罪深き侵略と決めつけて、中国側に損害を与えたのだからそのことを忘れず、現在の対中関係でもその負い目を日本側の態度に反映させねばならない、と主張するわけだ。日本側の贖罪意識だともいえよう。


中国側はこの種の日本側の過去の「罪」は国家としての永久保存のように、形を変えて常に提起している。


いわゆる「盧溝橋事件に始まる中国全面侵略」「南京大虐殺」「満州国建国による中国東北部侵略」「三光作戦」「731細菌部隊」などである。


どの事例も日本側の非人道的な残虐行為として中国側は永久に記録し、伝承していくという政策である。実際に中国側の学校教育では小学校の低学年から「日本軍の残虐行為」を教えている。


中国側のこの面での態度については北京郊外の盧溝橋地区に開設された「中国人民抗日戦争記念彫刻塑像公園」をみれば、よくわかる。


「とにかく中国国民の苦痛を理解すべきだ」などと述べ、中国の要求にただうなずいていれば、中国側の憎しみや恨みもやがては消えていくと論じるような日本側の識者にも、対日の怨念を青銅に刻んで永遠に残そうとする中国共産党の政策を体現したこの公園をぜひとも見学してほしい。


抗日戦争記念彫塑公園の広大な構内には青銅色のブロンズ塑像が合計38配置されている。共通のモチーフはまず日本の「侵略」と「残虐」、そして中国の「闘争」と「勝利」である。


個々のブロンズ像は直径2メートル、一つ一つが「南京での大虐殺」「731部隊の魔窟」という個別の事件、案件を表現し、歴史の説明が簡単に記されている。像には中国人男女の姿が無数に彫刻されている。大部分が日本軍に殺され、撃たれ、焼かれ、という苦痛の姿態である。


ブロンズ像に彫刻された日本人はあくまで残忍に醜悪に描かれ、銃剣で子供や女性を刺しまくるような像ばかりなのだ。そのうえに説明の文章では日本側はすべて通常なら日本人一般への侮蔑の呼称となる「日寇」で通されている。


一方、中国軍将兵は崇高で雄々しく、一般の中国人はあくまで無邪気で気の毒そうに、すべて描写され、悪と善とのコントラストが鮮やかとなっている。


日本は戦争の因果では国家を滅ぼし、戦場の犯罪では厳罰を受けて多数の同胞を処刑され、賠償も謝罪も国としての責任を果たしてきた。


中国との講和も復交もすませ、平和と友好の手をも十分以上に差し伸べてきたはずである。だが中国当局は戦争の敵意や憎悪をそのまま現在形として保ち、国民にも日本への憎しみ恨みの炎を無期限に燃やし続けることを、これでもか、これでもか、と号令する。


そうした怨念の表示のシンボル、その集大成こそが抗日戦争記念彫塑公園なのだ。


だから戦争の歴史にさかのぼり、そのことを理由に中国側に譲歩せよ、という理屈には正当性がない。戦争でのやりとりはもう済んでいるのだ。


(つづく その1、その2、その3、その4、その5、その6、その7)


トップ写真:南京で行われた南京大虐殺の国家記念式典(2016/12/13) 出典:Photo by Getty Images


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