核脅迫をステージアップさせた金正恩
Japan In-depth / 2023年2月26日 18時0分
韓国統一部が2月16日に公開した「北朝鮮権力機構図」によると、金正恩は2022年3月以後、党中央委員会政治局委員を40%以上、書記局書記を60%以上交代させた。また統制強化のために、規律部門の党中央検査委員会委員長と副委員長を、ともに政治局委員、候補委員に昇格させたが、これは組織指導部の統制だけでは体制の安定を維持できないという不安の表れだ。
軍では軍内部配列1位だった党政治局常務委員で、中央軍事委員会副委員長兼労働党書記の朴正天(パク・チョンチョン)が、昨年12月末に開かれた党第8期第6回総会で解任されたが、これは「国防計画5カ年計画」が、金正恩の意図通り進んでいないことへの不満の現れと見られる。
朴正天の軍における主要職位は、国防相だった李永吉(リ・ヨンギル)に受け継がれ、国防相は強純男(カン・スンナム)となり、総参謀長は李テソプから朴スイルに、社会安全相は朴スイルから李テソプに交代した。
李永吉の中央軍事委員会副委員長任命は、軍の規律を確立し、核兵器の小型化を中心とした軍の作戦・戦術能力の強化と対韓国侵略体制確率のための措置と見られる。
3、軍のさらなる私兵化を狙う「キム・ジュエ」の登場
金正恩は、内部統制を強化し、「軍の私兵化」を更に進めるために、娘の「キム・ジュエ」を、昨年の11月のICBM 「火星17号」発射実験場に登場させた。これは、北朝鮮の4代世襲を既成事実化する一方で、軍の使命を、金正恩だけでなく、その家族までも守ることだとするプロパガンダ戦略の一環とみられる。
2月8日の人民軍創建75周年軍事パレードでも、「キム・ジュエ」に再びスポットライトが当てられたが、そこに新たに編成された「金正恩決死護衛部隊」が姿を見せたのは偶然の一致ではない。
こうした一連の演出を見て、最近、一部韓国や米国の専門家、日本の北朝鮮ウォッチャーが、この娘を「金正恩の後継者だ」などと囃し立てた。これは北朝鮮の政治体制と社会的風土をよく理解していないことからもたらされたものだ。
この娘は金正恩後継者ではない。その理由の第1は、そもそも男尊女卑の伝統が根強く残り、階級的身分制度に基づく世襲的首領独裁制が国体となっている北朝鮮社会では、女姓が指導者となる政治基盤が存在しない。
金正恩体制を支える朝鮮労働党中央委員会メンバー百数十人の中で、女性は数人しかいないし、最高指導機関のメンバーである政治局常務委員や政治局委員にいたっては一人もいない。権力構造が女性指導者を支える仕組みになっていないのである。
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