1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

核脅迫をステージアップさせた金正恩

Japan In-depth / 2023年2月26日 18時0分

妹の金与正や儀典係の玄松月が目立つのは、彼女らが金正恩に近い特殊な女性であり、最高指導者に挑戦できない存在であるからだ。兄の金正哲が幽閉状態にあり、異母兄の金正男が暗殺されたこととは対象的だ。


第2に、男系の血統で一族の家系を綴る朝鮮半島における夫婦別姓(現在日本で議論されている夫婦別姓とは次元が異なる)の風習とも関係する。朝鮮半島では夫の姓だけが子孫に受け継がれ後世に残ってゆく(現在の韓国ではこうした伝統に変化が出ている)。嫁いだ女性の姓は子供の代では消えるのである。


こうした伝統の社会で、王朝権力を女性が受け継げば、王朝の血筋とは異なる夫の姓が次世代に受け継がれ、ロイヤルファミリーの姓が変わることになる。例えば金正恩の娘が同じ金氏の男性と結婚すれば姓は変わらないが、それ以外の李氏とか朴氏とかと結ばれれば、その子供は、李氏、朴氏の性を名乗ることとなり、その王朝は金氏王朝ではなく李氏王朝、朴氏王朝となる。すなわち北朝鮮が金日成を始祖とする金氏の国家、白頭の血統を受け継ぐ国家ではなくなるということだ。


第3に、現在の金正恩にとって、娘をわざわざ後継者とする必要がない。韓国の国家情報院が把握している情報では、金正恩にはすでに二人の男の子がいると言われている(愛人の子供を加えるとその数はもっと増える)。男子の子供がいるのに、わざわざ王朝の血統が変わる娘を後継者にする理由はない。


第4に、最高指導者の情報を国家の最高機密と位置づけている北朝鮮で、次期権力を担う後継者情報を、ここまであからさまに公開するのはありえないことだ。二人目の息子も出さないでいるのは、第1子の男子にもしものことがある時のスペアにと考えているからだろう。


第5は、後継者の公式化が公開された途端、権力は2つに分かれ、金正恩は沈みゆく太陽となる。まだ30代の金正恩が、それを覚悟してまで後継者を公式化するとは考えられない。


サプライズを演出することの好きな金正恩だ。今後も様々なプロパガンダを仕掛けてくると思われるが、それに惑わされると、金正恩の術中にハマることになる。


トップ写真:日米韓三国防衛訓練の様子(2023年2月22日)出典:Photo by South Korean Defense Ministry via Getty Images


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください