侵略1年、強まるプーチン訴追の動き 特別法廷設置も
Japan In-depth / 2023年2月27日 11時45分
ロシアは「国連主導の組織の設置には,安保理の決議が必要」と反発しているが、23日の国連決議が圧倒的多数で採択された事実は、訴追に向けた各国間の動きが勢いを増してきていることを示している。
ウクライナは今年中に、法廷設置を提案する構えと伝えられ、やはりICC非加盟の米国などは慎重姿勢を見せているが、設置支持の流れがさらに加速する可能性がある。
■国境超えた市民法廷「十分な証拠ある」
一方、侵略1年を前に、ICC本部のあるオランダ・ハーグでアメリカ、南アフリカなどの元検事ら法律家による「市民法廷」が開かれ、 ウクライナ兵士、国民らからの〝証言〟を聴取した。
侵略1年当日の24日、「法的権限を持った法廷がプーチンを起訴、ほかの戦争犯罪者を裁くべきだ」と関係国の司法当局に呼びかけた。
〝判事団〟は「ここで得られた証言はプーチンが国家のリーダーとして、ウクライナ侵略を計画、準備、主導したことを示している」と強調。国境を越えた民間法曹家の間でも戦争犯罪追及の声が高まっていることをうかがわせる。
■訴追免れても政治的には致命傷
特別法廷でプーチンら政権幹部の訴追が実現したとしても、実際に法廷に引き出し有罪に持ち込むまでには高い壁が立ちはだかっている。
政権上層部が戦争犯罪での主導的役割を果たしたことを法廷で立証するのは容易ではないことに加え、特別法廷の判事が逮捕状を発行しても、実際に身柄の拘束を行うロシアの司法当局が協力するとは考えられないからだ。
しかし、市民法廷など国境を越えた民間の協力、ハイテク技術を駆使し、携帯電話や電子メールの復元などに成功すれば、証拠固めは可能という指摘がある。
プーチンが訴追から逃げおおせたとしても、将来登場する政権が逮捕状執行に協力すれば、その時点で身柄を引き渡されることになり、退任しても将来にわたって身の安全が脅かされる。
他国を訪問した場合、そこで逮捕状を執行される可能性もあるため、プーチンはロシア国内にとどまらざるをえず、国家元首としての職務遂行は事実上困難となる。
有罪判決に持ち込むことができなくとも、訴追手続き自体がプーチンを政治的に追いつめる武器となる。
■末端兵士らの訴追だけでは公正を欠く
ロシアの侵略開始以来、ウクライナ国内では7万1千件にのぼる戦争犯罪が報告されている。市民の殺傷、拷問、性的暴行、子供の拉致、民間インフラへの爆撃など想定しうるあらゆる蛮行という(ロイター通信)。
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