日本はスマホ奴隷の国なのか
Japan In-depth / 2023年3月2日 16時32分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・東京では公共の場で人間のすべてがスマホ画面に見入っている。
・スマホ過剰使用が人間にもたらす多様な障害はすでに国際的にも証明されている。
・実際には存在しない仮想の世界の奴隷になってしまうとさえいえる。
東京からワシントンに居を戻して、生活を始めると、まず気がつくことが二つある。
第1はワシントンではマスクをしている人がきわめて少ない点である。屋外を歩く男女でマスクをしている人は皆無なのだ。東京とはまるで異なる風景である。屋内の会合でももうマスク姿はみあたらない。
第2はスマートフォンに没入している人の姿が少ない点である。東京ではとにかく公共の場で動く人間のすべてがスマホを握って、画面に見入っているといっても過言ではなかった。だがワシントンではそうした光景はない。
この第2の点を取り上げて、私なりの考察や懸念を述べてみたい。
東京ではとにかく視野に入る人間がみなスマホをみつめ、画面に没入しているのだ。スマホの仮想現実に吸い込まれている人間は本当の現実にどう対処するのだろうか。なんども考えさせられた。
過去4ヵ月ほどは日本で生活をしてきた。その間の体験では周囲の人間がとにかくスマホの奴隷のようになっていることに呆然とさせられた。そしてその奴隷状態の継続が今後の日本人の知能や精神、感情にどんな影響を与えていくのか、と懸念させられた。日本でもアメリカでもすでにスマホ依存の悪い結果が医学的にも、社会学的にも、確認され、発表されているのだ。
私はなにもスマホが象徴するインターネットの効用を否定するわけではない。私自身、仕事に私用にインターネットは大いに活用している。ただしほとんどの場合、パソコンを使う。スマホも持ってはいるが、通信、交信は年来の旧式携帯、いわゆるガラケーの方法で事足りてしまう。
私がいまあえて提起するのは、日本での電車やバスの車内、あるいは路上とか駅構内とか公衆の場でとにかく四六時中、スマホを一心にみつめている人たちの行動パターンである。東京拠点の過去4ヵ月ほどの生活では私は地下鉄やJRなど電車も頻繁に利用した。その電車ではとにかく視野に入る乗客はみなスマホを握りしめて、画面をみつめ、指を使って作業をしているのだ。
満員ではない電車、たとえば私がよく利用する地下鉄の千代田線など座席に座ると、向かい側の座席7人は全員がスマホをのぞきこんでいる。たまにスマホを持たない人、文庫本や雑誌を読む人もいるが、超少数派である。
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