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沖縄の玉城知事の奇妙な対中姿勢

Japan In-depth / 2023年3月10日 18時0分

沖縄の玉城知事の奇妙な対中姿勢


古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)


「古森義久の内外透視」





【まとめ】


・玉城デニー知事が、ワシントンDCで日米同盟のあり方や台湾有事について語った。


・中国の台湾軍事侵攻について「まずありえない」との見解を強調した。


・こうした態度は中国に決して批判的な言動はとらないという原則でもあるかのようだった。


 


アメリカを初めて訪れたという沖縄の玉城デニー沖知事が3月9日、ワシントンでのシンポジウムで沖縄の基地問題や日米同盟のあり方、さらには台湾有事などについて語った。玉城知事はそのなかで「中国の台湾攻撃はまずありえない」と断言する一方、沖縄県の一部である尖閣諸島の日本領海に中国の武装艦艇が頻繁に侵入している事実にはまったく触れず、中国の軍事的な膨張や攻勢を指摘することもなかった。結果として同知事はアメリカと日本の両政府の対中抑止のための防衛力増強には反対の姿勢を打ち出す形となった。


玉城知事は同9日、ワシントン市内のジョージワシントン大学の図書館内で開かれた沖縄問題についての同シンポジウムに基調演説者として出席した。約40分ほどの日本語でのこの演説で、同知事は沖縄の基地問題と中国に対するもう一つの視点、という二つの課題について意見を述べた。


玉城知事はこの演説の冒頭でまず自分自身が現在の日米同盟の存在には賛成だという立場を強調した。そのうえで沖縄の米軍基地への不満を住民にとっての環境問題や米軍将兵の犯罪による治安問題などの具体的事例をあげて説明した。また日米両国政府がすでに合意している辺野古基地の建設にも明確な反対を表明した。


玉城知事は演説の第二の部分で「米中関係へのもう一つの視点」と題して、いまのアメリカが超党派でまとまっている中国の野心的な膨張や軍事力の大増強、台湾への武力侵攻威嚇への反発を過剰であり、不必要だとする意味の発言を繰り返した。


玉城知事はとくに現在のアメリカで現役軍人や中国軍事専門家がその可能性が高いとする中国の台湾軍事侵攻について「まずありえない」とか「現実にはそうではないだろう」という否定的な見解を強調した。


玉城知事は中国の台湾侵攻はないだろうとする見解の根拠として(1)台湾での住民の最近の世論調査で「中国の軍事侵攻はないと思う」と答えた人が全体の57%、


「あると思う」が39%だった(2)日本の元中国駐在大使の宮本雄二氏が最近の言明で「中国の台湾軍事侵攻の可能性はゼロに近い」と断言した(3)最近の米中両国間の貿易量が記録破りの巨額となり、経済関係が緊密だから中国の軍事力行使もない


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