バイデン大統領をどう評価するか その1 任期中に戦争が起きた
Japan In-depth / 2023年3月16日 15時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・就任2年のバイデン大統領は2月、2023年度一般教書演説を終えた。
・バイデン氏は9割ほど内政問題に当て、国際課題や外交政策への言及は驚くほど少なかった。
・最初から軍事的対応という選択肢を排除したことはロシアの侵略を結果として奨励したと批判されている。
アメリカの国政がさらに混迷をきわめてきた。国内政治では2024年の次回大統領選挙に向けての展望もまさに屈折し、錯綜を深めてきた。
そして日本側にとってはなによりも気になるアメリカの対外政策、国際情勢への動向が鈍く、弱くなる気配をみせてきたようなのである。
アメリカの政治全体のまず俯瞰図となれば、最初の基軸は現在の統治責任権者、民主党のジョセフ・バイデン大統領とその政権のあり方とするべきだろう。
バイデン大統領はこの1月20日、就任以来ちょうど2年の任期折り返し点を越えた。その直後といえる2月7日、同大統領は連邦議会上下合同会議で今2023年度の一般教書演説を終えた。
それから1ヵ月ほど後、この時点でのバイデン大統領の実績評価は時機としてまさに適切だろう。だが当然ながらその評価は容易ではない。その広範な軌跡に対して半分まで水の入ったコップの満ちた部分をみるか、それとも空の部分をみるか、によって見解はまるで異なってくる。
となれば、歴代の他の政権の実績とくらべれば、より客観的な評価が出てくるかもしれない。その比較では、まずバイデン氏のすぐ前任のトランプ前政権との対比がわかりやすいだろう。
トランプ政権とのその比較でもまず対外政策での実績にしぼって考察してみよう。アメリカの内政も重要だが、世界全体、あるいは日本をはじめとするアメリカとの絆の深い他の諸国からみれば、アメリカが超大国として対外的にどんな行動をとっていくかは最優先となる関心事だろう。
ちなみに前述の一般教書演説ではバイデン大統領はその内容の9割ほどを内政問題に当てた。国際課題や外交政策への言及は驚くほど少なかったのだ。この事実はバイデン政権が対外政策では誇れる実績をほとんど達成していないという自認とも受け取れる。
国際情勢に関してバイデン政権がトランプ政権と異なる特徴としてわかりやすい判断材料の一つは、それぞれの任期中に新たな戦争が起きたか否かである。アメリカの歴代大統領の対外実績の評価でこの基準はよく使われる。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
トランプ氏がホワイトハウスを訪問 バイデン氏と融和ムード演出 ウクライナなど課題協議
産経ニュース / 2024年11月14日 9時12分
-
山上信吾 日本外交の劣化 「弱い米国」世界に焼き付けたバイデン氏 レーガン氏が「史上最高」の大統領 対するトランプ氏、ハリス氏の器と視野の狭量にがく然
zakzak by夕刊フジ / 2024年11月14日 6時30分
-
トランプ氏「ウクライナを見放すのか支援継続か」 次期政権で対立する2グループが浮上
東洋経済オンライン / 2024年11月9日 10時0分
-
ウクライナ侵攻で投入される北朝鮮兵は「突撃部隊」 兵士報酬ピンハネ、実戦経験のメリットも。日本にも影響?
47NEWS / 2024年11月5日 10時30分
-
米大統領選がウクライナに及ぼす影響 同国出身の識者が懸念「トランプ勝利なら支援中止、米国第一に」
よろず~ニュース / 2024年10月27日 12時40分
ランキング
-
1池袋暴走事故の飯塚幸三受刑者(93)が死亡 松永拓也さん「後悔や経験の言葉を託された。死を無駄にしたくない」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月25日 11時38分
-
2「佐渡島の金山」の追悼式には不参加 韓国側が佐渡市で独自の追悼行事 《新潟》
TeNYテレビ新潟 / 2024年11月25日 12時1分
-
3ALS嘱託殺人 被告の医師に2審も懲役18年 大阪高裁が控訴棄却
毎日新聞 / 2024年11月25日 10時51分
-
4【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
NEWSポストセブン / 2024年11月25日 7時15分
-
5高市早苗氏はいつ「タカ派政治家」になったのか…「ポスト石破」に一番近い女性政治家の"克服すべき弱点"
プレジデントオンライン / 2024年11月25日 8時15分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください