バイデン大統領をどう評価するか その1 任期中に戦争が起きた
Japan In-depth / 2023年3月16日 15時0分
たとえアメリカがその戦闘当事国でなくても、世界のどこかで新しい戦争の勃発を許したとすれば、超大国の元首のアメリカ大統領の責任にかかってくる、という判断が年来、存在してきた。
その点でまず第一に、ロシアのウクライナ侵略はまちがいなくバイデン大統領の任期中に起きた新たな戦争である。
ロシアが軍隊をウクライナ国境沿いに集結させ、侵略の準備を始めたことは国際的にも、そして当然ながらバイデン政権にも明白にわかっていた。それでもなおアメリカはその侵略を阻むことができなかった。阻もうとしなかったと総括する向きもある。
バイデン大統領自身はロシアのウクライナへの軍事攻撃に対して「アメリカは経済制裁で対応する」と断言し、軍事的な抑止の手段はとらないことを言明してしまった。プーチン大統領にとってはウクライナに軍事侵攻してもアメリカやその同盟相手の北大西洋条約機構(NATO)の諸国からは直接の軍事的反発は受けないという安全保証だった。
バイデン大統領はアメリカ国内では保守派、中道派からは「最初から軍事的対応という選択肢を排除したことはロシアの侵略を結果として奨励してしまった」と批判された。実際にトランプ前大統領は自分の任期4年間には新たな戦争はまったく起きなかったことを強調し、バイデン政権の態度を軟弱すぎると非難した。
**この記事は月刊雑誌『正論』2023年4月号に載った古森義久氏の論文「国際情勢乱す米国政治の混迷」の転載です。
(つづく)
トップ写真:ウクライナ ゼレンスキー大統領と会談するバイデン米国大統領 (2023年2月20日、ウクライナ・キーウ)出典:Photo by Ukrainian Presidential Press Office via Getty Images
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