マスクなし卒業式「未来のニュートン」は 「高岡発ニッポン再興」その58
Japan In-depth / 2023年3月19日 6時0分
出町譲(高岡市議会議員・作家)
【まとめ】
・高岡市立高陵中学校で卒業式。窮屈な生活をしながらも生徒たちは絆を深め、逞しく成長した。
・「コロナ後」の世界では、古い時代から決別することになるだろう。
・我が故郷から、新たなニュートンの誕生を期待する。
私は高岡市立の高陵中学校の卒業式に、地元の市議会議員として招かれました。卒業生は101人。去年と違って、今年は、生徒たちがマスクを外していました。久々に子どもたちの顔の表情が見えたのは、新鮮でした。コロナ後にやっと一歩踏み出したのです。
今回の卒業生は3年間丸々、新型コロナに重なりました。生活様式ががらりと変わる、歴史的な経験をしたのです。休校やマスク着用など大変な日々だったと思います。ご苦労をおかけしました。
私は、コロナ禍の中学生活、理屈ではわかっていましたが、卒業生代表、石黒尚希君の答辞を聞いて、初めて実感しました。窮屈な生活をしながらも、生徒たちは絆を深め、逞しく成長していったのです。
石黒君は答辞の中で、中学時代について「約2カ月間の休校から幕を開けました」と切り出しました。友達ができるだろうか、勉強は大丈夫だろうか不安を募らせていたと言います。
「2カ月の空白の期間を経て登校した私たちを待っていたのは、全く新しい形の生活でした。マスクの着用、衝立に遮られて無言で食べる給食・・・新しく出会った人と、心の距離を縮めることが難しかったことを覚えています」。
それでも、初めての部活動、運動会、合唱コンクールなどを経験するたびに「高陵中学校の一員としての自覚が芽生えていきました。それと同時に私たちの中に『絆』が生まれてきました」。
石黒君は3年生になったときの運動会や修学旅行、合唱コンクールなどの思い出を振り返りました。運動会では、団体種目では意見を出し合って、練習に取り組みました。「勝敗とは関係なく、競技をやり終えた後の感動は、すがすがしいものでした」。修学旅行では、出発直前に台風11号が接近し、出発できるかどうかわからなかったそうです。実際、親元を離れて旅行。「自分たちの目と耳で触れた歴史と文化。友と過ごしたあの3日間は、一生胸に刻みつけられ、消えることはないでしょう」。
合唱コンクールは2年ぶりに高岡文化ホールで開催。うまく歌えず悩んだ日もあったが、「歌い終えたときの達成感に、クラスの絆がさらに深まるのを感じました」。
石黒君は、おしゃべりしながら、給食を食べたり、全校生徒で大声を出して運動会で盛り上がりたかったのが本音だとしながらも、「101名の仲間と過ごした時間は、この不満を忘れさせるほど充実したものでした。皆に出会えて同じ時を過ごすことができて、よかった」。
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