大江健三郎氏の自衛隊全廃論はいま
Japan In-depth / 2023年3月21日 21時0分
私の記事はさらに続いていた。
大江氏はまた「日本はアジアの人民に対し戦争の罪を認めて、謝り、賠償を支払わねばならない」と語った。
聴衆の米人記者から「あなたは作品でも広島の原爆被災者についてのみ書き、犠牲者側の苦しみを強調するが、日本が弱体だったという点も含めて、あなたの主張にはまったく同意できない」という反論が出た。同記者は日本が戦争に関して、もっと加害者の立場に立つことを訴えた。
記事は以上だった。
大江氏は日本からは遠く離れたワシントンでの、しかも英語でのスピーチや意見表明ということなので、遠慮なしの率直な言葉を自由に発したのかもしれない。だが当時の日本で大江氏のこの種の意見にぶつけられるよりも明確な反対論がアメリカ側から出たことは、当時の私には新鮮に映った。
大江健三郎氏のノーベル文学賞作家としての業績が誇らしげに語られる一方、政治的にはこれほど過激な発言をしていたことも忘れられるべきではないだろう。
*この記事は日本戦略研究フォーラムの評論サイトに掲載された古森義久氏のコラム記事の転載です。
トップ写真:「戦争をさせない全国署名提出集会」にてスピーチをするノーベル文学賞受賞者大江健三郎氏(2014.06.12 東京)
出典:Photo by Hitoshi Yamada/NurPhoto
Photo by NurPhoto/Corbis via Getty Images
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