尹・岸田首脳会談の歴史的意義
Japan In-depth / 2023年3月24日 11時0分
また「韓国が先制的に障害物を除去していくならば日本も必ず呼応してくるだろう」とも述べた。報道によれば、尹大統領は、側近たちに、日本の「立憲民主党」中川正春議員から、「共に民主党を説得に行きましょうか」などと持ちかけられ、恥ずかしい思いだったと吐露したという。
韓日両国を妨げてきた歴史問題の深い溝を1回の首脳会談で埋められるとは尹大統領も考えていないだろう。彼の韓日関係改善方針にブレはない。韓日関係の改善こそアジアにおける自由民主主義連帯強化の要であるという戦略的視点を信念としているからだ。今後国民との対話を深め、否定的世論を鎮める努力を続けると思われる。
今回の会談は、未来志向の韓日関係とする土台を準備したこと、新冷戦下の韓日間で、自由民主主義価値観に基づく戦略的関係を再構築したこと、特には米韓日連携の対北朝鮮抑止力を強化したことなど、ある意味で歴史的会談であったといえる。
尹・岸田会談は金正恩をさらなる窮地に追い込んだ
前文在寅政権時に戦後最悪となっていた日韓関係が、今回の韓日(日韓)首脳会談で正常化されたことは、金正恩に対するさらなる圧力となっている。韓日の対立で穴が開いていた米韓日連携による対北朝鮮包囲が復元されたからだ。
特に今回の首脳会談での「GSOMIA(韓日秘密軍事情報保護協定)」の完全正常化(21日午前、韓国側は「GSOMIA」を巡る韓国側の通知2件をいずれも撤回すると日本側に書面で伝えた)が、金正恩に与えた衝撃は想像以上に大きかったようだ。
金正恩はすでに、尹政権の登場による「GSOMIA」復元を予測し、昨年末の労働党中央委員会第8期第6回全員会議拡大会議で、「米国は、日本、南朝鮮(韓国)との三角共助の実現を本格的に推し進めながら、『同盟強化』の看板の下で『アジア版NATO』のような新たな軍事ブロックの樹立に没頭している。国際関係構図が『新冷戦』システムへと明白に転換され、多極化の流れがいっそう早まっている」と情勢の厳しさを吐露していた。
そして今年の3月11日には党中央軍事委員会拡大会議を開き、戦争抑止力を「威力的・攻勢的」に活用すると決め、翌12日から潜水艦発射巡航ミサイル(SLCM)、短距離弾道ミサイル(SRBM)などを2日に1回の頻度で撃ち、武力挑発を継続する姿勢を示した。
金正恩は、米韓合同軍事演習とともに、新たに強化された米韓日三角共助を牽制するために、核・ミサイル能力の高度化を宣言した。今回の韓日会談当日の16日には、尹大統領が日本に飛び立つ3時間前に、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射し、核脅迫を一段と露骨化させた。
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